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「日本人の自己表現の文体」

本日の東京新聞の夕刊に大江健三郎氏の外国特派員協会での「日本人の自己表現の文体」と題する講演会の模様が掲載されていた。
その中で大江氏は「参院選が終わったら教育基本法が改正されると思う。それから後は平和の文化は日本にはなく、戦争への運動だけが残る。その大きな危機に対し、お母さん方や若者が反対する運動をつくれば、日本人がまじめに平和を考える人間だとアジアやヨーロッパの人に考えてもらい、世界の文化会議に参加出来る状態になる」と、今後の平和運動の基底に憲法と教育基本法を尊重する姿勢が必要であると指摘し、「今も心の中では、教育基本法を守るデモの先頭に立っている」と語ったという。
憲法が過解釈によって骨抜きにされた以上、教基法の理念を守っていくという学生運動の原点に返っていくことは大切であろう。しかし教育基本法を反戦の原点に持ってくる前に、より一層現在の現場での教基法の理念の共有化が求められる。

『労基法のことが面白いほどわかる本』

新井洋『労基法のことが面白いほどわかる本』(中経出版 2000)を読む。
第1章「労基法は職場の法律の中心である」として、労基法が憲法22条の「職業選択の自由」25条の「生存権」の具現化であり、労働者の生活と権利を守るものだとまずうたっている。しかし人間らしい労働条件の最低ラインを定めた労基法の基準に、日本でどれほどの職場がクリアーしているのだろうか。いかに労働者個人の権利が法的に保障されたとはいえ、そうした労基法を実際の職場に実体化させていくには、労組運動の活性化抜きにしては絵に描いた餅にすぎない。