炭谷俊樹『第3の教育:突き抜けた才能は、ここから生まれる』(角川oneテーマ21 2000)を読む。
著者はデンマークの教育理念ともなっているイタリアの教育学者モンテッソーリの教育法に影響を受け、通常の学校教育とも、ただ子どもの自由に任せただけのフリースクールとも違う、「自分自身が何かを作り出す。自分自身が価値観とか哲学を持って、自分はこういうことを学びたいから、こういうカリキュラムでやりたい。あるいは、自分自身が社会参画することで社会は変えられると思える生き方ができる人を育てる」ことを目指した第3の教育を提言する。
「Oplysning」とはデンマーク語で「教育」を意味する言葉で基本的には「照らす」という意味である。そこから著者は、単に知識を学ぶとか、計算が出来るということではなく、自分の中に強い力、何か燃えるようなものがあって、それでお互いを照らし合うという「照育」を基本理念にしたラーンネットグローバルスクールという私塾を神戸に立ち上げ、新しいオルタナティブな教育実践してる。ホームページを見れば分かるが、このLGSのプログラムは、管理詰め込み教育でもなく、自主放任教育でもない、体験を重視した問題解決能力育成に特化した「自立・創造型」の人材育成モデルである。何やら慶応SFC的な宣伝文句が並ぶが、総合的な学習の時間、生きる力といった文科省の学習指導要領のパイロット校みたいな雰囲気である。このような学校がチャータースクールとして認可を受ければ日本の教育は根幹から変わっていかざるを得ないだろう。