カン・ジェギュ監督『ブラザーフッド』(2004 韓国)を観に行った。
兄弟愛をメインにした映画かと思ったが、米ソ中の大国の思惑に翻弄される朝鮮戦争の悲哀を描いた戦争映画であった。無二の兄弟である兄と弟の間に「38度線」が作られてしまうという朝鮮韓国民族のつらい歴史が顔を覗かせる。共産主義者だから殺さなければならないというイデオロギーが結局は米国によって作られたまやかしであったということが激しい銃撃戦の中で描かれる。涙が流れるような感動はなかったが、よい映画であった。
翻って日本にはそうした戦争映画は数少ない。広島や沖縄での被爆体験を描いたドラマや映画は数多くあるが、韓国併合、南方進出や南京大虐殺に関わった日本兵の葛藤を扱った映画を私は寡聞にして知らない。あれば見てみたいものである。
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『下妻物語』
『ドーン・オブ・ザ・デッド』
『グッバイ、レーニン!』
ヴォルフガング・ベッカー監督/脚本『グッバイ、レーニン!』(2003 独)を観に行った。
ベルリンの壁崩壊直前に意識を失った熱心な社会主義運動の指導者であった母と壁崩壊後西ドイツの華やかさに心を奪われつつある息子の二者を中心として物語は展開する。壁が崩壊してしばらく経ってから意識を回復した母を悲しませまいと、東ドイツが健全に成長前進していると思い込ませようとする息子アレックスは、いつしかレーニンの描いた真のそして幻の共産主義国家を巧みに演出していく。疲弊する競争社会、大量消費社会に辟易した西側の市民が雪崩を打って東側に逃げ込んでいくというアレックスが作った偽ニュースには笑った。また混乱する母の眼前を資本主義の象徴であるコカコーラの宣伝と、共産主義の象徴であるレーニン像の残骸が行き交う場面もついにやりとしてしまう。
しかし、共産主義を経験した大人と全く知らずに育ったヨーロッパの若者との間で着実に世代ギャップが生じつつある現実が思い出される。つい先日EU拡大に狂喜乱舞するポーランドやバルト三国の市民の姿をテレビで見たばっかりだが、EUはこうしたアイデンティティの喪失といった問題をトルコや中央アジア諸国の加盟の際にも抱えていかねばならない。
□ 映画『グッバイ、レーニン!』 日本版公式ホームページ □





