読書」カテゴリーアーカイブ

『スマートフォン チャンス!』

手嶋浩己・須田将啓・武石幸之助・紺野俊介・杉井信一郎・岩野義史・野田順義・山田翔・上路健介『スマートフォン チャンス!』(インプレスジャパン 2011)を読む。

一般消費者向けの本ではなく、これからスマートフォンビジネスに参入を目論む業者向けに、フィーチャーフォンビジネスとの違いや、広告のうちかた、課金システムの構築などの指南書となっている。著者はまず始めに、スマートフォンを「ハードウェア(の進化)」「ソフトウェアのアーキテクチャー」「ネットワークの通信手段」「デバイス形態の多様さ」「アプリとブラウザ」「クラウドサービスとの強い連携」「グローバルな共通基盤」の7つの点から定義付けている。

そして従来の携帯電話とPCの中間に位置しながらも、どちらとも付かないスマホ独自のビジネスモデルについて詳細に書かれている。特にスマホには、フィーチャーフォンの公式アプリように電話会社が代行して料金を徴収する仕組みがないため、継続して利用してもらいながらビジネスとして成立させる工夫が大切である。著者はいずれもモバイル業界の最先端で活躍する人たちなので、自身の経験に根ざした提案を行っている。

後半はCTRや、ROI、CGMといったアルファベット用語がたくさん出てきたので、斜め読みになってしまった。

『迷走政権との闘い』

社会民主党党首・福島瑞穂『迷走政権との闘い』(アスキー新書 2011)を読む。
表紙の肩書きに「社会民主党党首」と書かれており、民主党批判以上に社民党の国会内外での成果を大々的に宣伝するプロパガンダの要素が強い本であった。社民党はTPPに明確に反対を表明しているが、そのTPPについての一節が印象に残ったので引用してみたい。

TPPの弊害は、農業だけでなく他の分野にも及びます。金融、司法、労働力、医薬品、医療サービスなど、どんどん自由化することで影響が出てきます。安い労働力が入ってきて、これまで以上に日本人の雇用が悪化するということも考えられます。もしかしたら、「輸出産業vs.国民の生活」というふうに対立軸を立てた方がいいのかもしれません。「農産業vs.他産業」という対立軸ではなく、本質的には「輸出産業vs.国民の生活」というのがTPPの対立軸なんです。

『昔、革命的だったお父さんたちへ:「団塊世代」の登場と終焉』

林信吾・葛岡智恭『昔、革命的だったお父さんたちへ:「団塊世代」の登場と終焉』(平凡社新書 2009)を読む。
1958〜59年生まれの著者たちが10歳ほど上の団塊世代を批判するというトーンでほぼ論旨が貫かれている
団塊世代の代名詞ともなっている全共闘運動については次のように辛辣な視点で述べられている。

全共闘運動経験者の大半は、マルクスの『共産党宣言』くらいは読んだかも知れないが、『資本論』はまず確実に読んでいないだろう。あんな騒々しい時代に、腰を据えて『資本論』など読む時間があったとは思われない。三里塚だ佐世保だと東奔西走していた活動家ほどそうだ。
それでも「闘争」に支障はなかった。いや、そもそも行動原理として必要だったのは、マルクーゼの「疎外」であったり、マクルーハンの「情報操作」といった、感覚を表現するキーワードだけだった。
その上に、叩きのめされてもなお立ち上がる矢吹丈の姿であるとか、決死の殴り込みに行く高倉健の姿を勝手に「反体制」に置き換えた、なんとも単純きわまりない闘争理論だったのである。

団塊世代は議論好きであると、よく言われる。たしかに好きなのかも知れないが、巷でよく耳にする彼らの議論とは、まるで「賎ヶ岳の七本槍」のような、学生時代の武勇伝や友情物語から一歩も出ていない水準のものが多い。体育会系のサークルにどっぷり漬かった学生時代を過ごし、社会に出てからもそのノスタルジー以外に語るべきものを持たないような人たちと、大差ないのである。

これもまた、彼らの行動原理とは子供にも分かる漫画で、その「吹き出し」にちょっと哲学用語や左翼アジテーションを入れてみただけなのではないか、と疑いたくなる理由なのだ。

筆者は、団塊の世代を「サブカルチャーにはじまり、終わった世代」「亡国の世代 やり逃げの世代」と称し、自分たちの世代が冷や飯を食わされてきたことを恨み節のように展開する。

世代でカテゴライズし物事を図るのは血液型と同じくらい短絡的な発想だと思う。しかし、私の身のまわりにいる現在60代前半から半ばの世代の方々をみていると、個人的には納得してしまうところが多々あった。

『新左翼とは何だったのか』

荒岱介『新左翼とは何だったのか』(幻冬舎新書 2007)を読む。
第二次ブント社会主義学生同盟で委員長を務めた著者が、砂川闘争や60年安保、70年代以降の自治会や労働運動、三里塚闘争などの「史実」を掘り起こして、どういった理由でブントや革共同が分裂していったかについて分かりやすく論じている。

読みやすい内容であったが、先日読んだ『新左翼運動』の今後の希望ある展開ではなく、やれ○○派の××がといった「ゴロ話」が多くて少々辟易してしまった。レーニン主義に根ざした共産党と、トロツキズムに思想の根を置く新左翼の違いに始まり、共産党や社会党青年部の分裂から連合赤軍や日本赤軍まで、ほぼ全ての党派について論評が加えられている。また、新しい所では、1999年から2004年にかけての明治大学内における「ゴスペル愛好会」による襲撃事件を巡って、「革労協狭間派と」「革労協赤砦社派」との内内ゲバの様子も述べられている。

現在の自分のような一般の「市民」が読むような内容ではなかった。ただ1966年の早稲田大学における学費・学館闘争での全学ストライキの話は興味深かった。当時の全共闘議長である大口昭彦氏の名前が懐かしかった。

『水族館の通になる:年間3千万人を魅了する楽園の謎』

中村元『水族館の通になる:年間3千万人を魅了する楽園の謎』(祥伝社新書 2005)を読む。
先日、鴨川シーワールドに出かけ、シャチやイルカの見事なショーの舞台裏が知りたいと思い手に取ってみた。鳥羽水族館にてアシカトレーナーを経て、新・鳥羽水族館や新江ノ島水族館のプロディースを手がける著者が、水族館の不思議について分かりやすく語る。魚の移動や餌の調達などの舞台裏話から、飼育係になる方法やイルカやアシカの演技指導の方法など興味深い話ばかりで、一気に読んでしまった。