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『熱愛自転車塾』

長尾藤三『熱愛自転車塾:もっともっと深〜く長〜くジテンシャを愛する法。』(五月書房 2009)を読む。
60代後半になる著者がロードバイクを中心に、走る時の姿勢やカーブの曲がり方、自転車の整備の仕方、用品の選び方など、分かりやすく解説を加えている。肘の使い方やハンドルの握り方、力の加え方などをイラストや写真ではなく、言葉だけで説明しており、却ってすんなりと理解することができた。
腰を立てることで下半身と上半身を上手く連携させる点や、肘の力を抜くことで柔軟に体の筋肉を使う点など、自転車も武道や他のスポーツと同じなんだと改めて理解した。
本論とはあまり関係ないが、エピローグの一節が興味深かった。引用しておきたい。

 技術経済って奴は、アクセルしかついてないからね。停まることを怖れて、とにかく前へ前へと進みたがる。ハンドルとブレーキの役割をするはずの政治は、今や経済のしもべで、主義主張に関係なく、世界中の政治課題はどの国でも
「どうすればもっと景気はよくなるか」
 もうひとつのハンドル&ブレーキ役の思想は、もう存在しないかと思うほど無力です。

『自転車読本』

川口友万・村田正洋・石川望『これからの自転車読本:自転車が変える大人のライフスタイル』(東京地図出版 2010)を読む。
ロードバイクとマウンテンバイク、クロスバイクの違いに始まり、目的別の選び方や簡単な修理、カスタマイズなどがイラスト入りで分かりやすく解説されている。
新しい情報は少なかったが、サドルの調整やパンクへの対応など基本を振り返ることができて参考になった。

『鉄道で広がる自転車の旅』

田村浩『鉄道で広がる自転車の旅:「輪行」のススメ』(平凡社新書 2010)を読む。
出張で電車に乗っている間に、自転車に纏わる本を2冊読むことができた。
自転車誌『シクロツーリスト』と『ランドヌール』両誌の編集長を務める著者が、ツーリング向きの自転車の選び方に始まり、輪行袋の使い方や、電車での位置取り、自転車旅の計画の立て方に至るまで、自身の経験を踏まえて分かりやすく語っている。「秘境駅」とも称される飯田線沿線駅を辿る旅や、鉄道アイドルの斉藤雪乃さんとのほんわか輪行旅行の話など興味深かった。

『虚人たち』

第9回泉鏡花文学賞受賞作となった、筒井康隆『虚人たち』(中公文庫 1984)を10ページほど読む。
文庫本の裏表紙の内容紹介の一節に、「小説形式からのその恐ろしいまでの”自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作」とある。また、パラパラとページを繰るに、本文中に空白及び活字欠落のページがあるなど斬新なスタイルで、同じく筒井康隆の代表作である「七瀬三部作」を読んだ際の驚愕を期待したのだが、残念ながら10ページほどで断念した。疲れている頭にはきつかった。
アマゾンのレビューやウィキペディアの解説では、「文学の範疇を超えた傑作」という評価が目につくのだが、果たして最後まで読み通すことができたのだろうか。
文庫本の解説を文芸評論家の三浦雅士氏が認めているのだが、ほぼ私と同じく最初の10ページほどの表現を小難しく説明した程度のものとなっている。三浦氏も最後まで読み通したのだろうか。そんな疑問を感じるほど、物語世界に入れなかった。いや、作者自身がそうしたことを拒絶しているのか。

『自転車市民権宣言』

石田久雄・古倉宗治・小林成基『自転車市民権宣言:「都市交通」の新たなステージへ』(リサイクル文化社 2005)を読む。
車道を走ると邪魔者、かといって歩道では厄介者となってしまう自転車について、欧米の現状や縦割り行政の弊害などを指摘しつつ、環境面だけでなく健康面や経済面からも優れた交通手段であると位置づけ、走行スペースや駐輪場所、通勤での奨励等、総合的な活用方法について提言をしている。
趣旨は興味深かったのだが、官公庁の文書からの引用の継接ぎだらけで、大変読みにくい文章であった。もう少し表や図解などの工夫があれば良かったのに。

詳細は「自転車活用推進研究会」のホームページを参照してください。