第9回泉鏡花文学賞受賞作となった、筒井康隆『虚人たち』(中公文庫 1984)を10ページほど読む。
文庫本の裏表紙の内容紹介の一節に、「小説形式からのその恐ろしいまでの”自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作」とある。また、パラパラとページを繰るに、本文中に空白及び活字欠落のページがあるなど斬新なスタイルで、同じく筒井康隆の代表作である「七瀬三部作」を読んだ際の驚愕を期待したのだが、残念ながら10ページほどで断念した。疲れている頭にはきつかった。
アマゾンのレビューやウィキペディアの解説では、「文学の範疇を超えた傑作」という評価が目につくのだが、果たして最後まで読み通すことができたのだろうか。
文庫本の解説を文芸評論家の三浦雅士氏が認めているのだが、ほぼ私と同じく最初の10ページほどの表現を小難しく説明した程度のものとなっている。三浦氏も最後まで読み通したのだろうか。そんな疑問を感じるほど、物語世界に入れなかった。いや、作者自身がそうしたことを拒絶しているのか。
『虚人たち』
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