読書」カテゴリーアーカイブ

『自転車で旅をしよう』

自転車生活ブックス編集部『自転車で旅をしよう:初めてでも楽しめる週末ツーリングのすべて』(ロコモーションパブリッシング 2005)を読む。
10年以上前の本であるが、1泊2日程度の「大人」の週末ツーリングのための計画や装備、乗り方に始まり、先輩ライダーのツーリングスタイルなど、写真やイラスト入りで大変分かりやすくまとめられている。

テント利用のキャンプや寝袋だけの野宿は、本書においてはおすすめしない。元気な少年や若者ならともかく大人の週末の旅行としてはあまりにもリスクが大きいからだ。多少の金銭的負担は自分への投資と割り切って、きちんとした宿泊施設を利用するにようにしたい。お風呂に入り、真っ当な寝具で眠る。これが翌日に疲れを残さない重要なポイントなのだ。

『史記の風景』

宮城谷昌光『史記の風景』(新潮文庫 1997)をパラパラと読む。
ちょうど「鴻門の会」を扱っているので、教材研究として手に取ってみた。
明日の授業の中で触れられそうなところだけ

各王朝の盛衰が書かれている「本紀」と、天下に名をあらわした個人の伝記である「列伝」が組み合わさった歴史書の構成を「紀伝体」と言い、むろん司馬遷の発明であり、のちの歴史家はそのスタイルを踏襲することになった。

清少納言も『枕草子』の中で、「書は文集。文選。新賦。史記。五帝本紀。願文。表。博士の申し文。」と書いている。

李陵は司馬遷の僚友といってよい。漢の武帝が李陵に八百の騎馬を与えたところ、李陵は敵地である匈奴の血を二千余里も侵入して帰ってきた。その勇気をめでて、武帝は五千の歩兵を李陵に与えたのである。李陵はその兵をきたえて強兵にしたあと、武帝に出撃のゆるしを請い、匈奴征伐を行なった。ところが匈奴はその五千の兵を八万の兵で包囲したのである。さすがの李陵も力つきて、匈奴に降伏した。その行為を武帝への裏切りではないと信じた司馬遷は、李陵を弁護したのである。が、やがて李陵が匈奴の将となったことがわかり、激怒した武帝によって、李陵の母や妻子は処刑され、司馬遷も宮刑に処せられた。

亜は「つぐ」と訓む。亜父は父のつぎに尊い人ということになろうか。范増は南方の居巣の出身で、70歳になるまでだれにも仕えずに、家でひっそりと暮らしていた。ところが秦の始皇帝が死んだあと、天地がひっくりかえるほどの大乱がおき、つぎの時代を指導して行くのが、どうやら項梁という男だとみきわめると、家をでて、北にむかい、薛というところで諸将をうごかしている項梁に会いにいった。そのときの献策が項梁に容れられて、楚軍に属すことになる。だが項梁はすぐに戦死し、楚軍を率いることになったのが、項梁の甥である若い項羽であった。范増は項羽に仕え、奇計をもってかれの覇業をたすけた。亜父、の語があらわれるのは、鴻門の会、を描写するところである。
−−亜父は南に嚮って座す。
とあるから、范増がもっとも尊い席についていたことになる。南に向かってすわるのが天子であれば、北に向かってすわるのが臣下である。日本にあった「北面の武士」の北面は、そこからきている。
さて、范増は項羽のために尽力したが、項羽の最大の敵となった劉邦は、謀臣の陳平の計を用い、項羽に范増を疑わせた。そのため怒った范増は項羽と袂をわかち、帰国する途中で悪性のはれ物が背中にできて死んだ。項羽は范増をしりぞけたことで、十中八九手中のおさめた天下を失った。

Wikipediaより
北面武士(ほくめんのぶし)とは、院御所の北面(北側の部屋)の下に詰め、上皇の身辺を警衛、あるいは御幸に供奉した武士のこと。11世紀末に白河法皇が創設した。院の直属軍として、主に寺社の強訴を防ぐために動員された。

西面武士(さいめんのぶし)は、鎌倉時代、上皇に仕え、身辺の警衛、奉仕などにあたった武家集団のこと。1200年ごろ、後鳥羽上皇が鎌倉幕府の軍事力に対抗して結成したとされる。

『名ばかり大学生』

河本敏浩『名ばかり大学生:日本型教育制度の終焉』(光文社新書 2009)を読む。
東進ハイスクールで現代文・小論文講師として教壇に立ちながら、全国学力研究会理事長を務める著者が、「ゆとり教育」や学力低下の現状、受験競争と校内暴力や援助交際との因果関係、絶望的なまでの学力格差などについて語る。特に「ゆとり教育」と「学力低下」を短絡的に絡めて、高校までの教育に責任を押し付けようとする大学教員に対する舌鋒は鋭い。
最後に著者は、「学力低下」に対する方策として、高校卒業時に義務教育修了資格試験の実施を提案している。確かに分数の計算ができないとか、基本的な国語や英語の知識がないと指摘される大学生の基礎学力低下を考えると効果的であろう。

『大学の淘汰が始まった!』

平山一城『大学の淘汰が始まった!』(宝島新書 2013)を読む。
産経新聞編集委員を務める著者が、産経新聞のウェブサイト「イザ!」に掲載されたブログ記事がまとめられたものである。
旧来の教養学部の解体と「リベラルアーツ」の隆盛、「国際」と名がつく学部の中身の検証、学生や保護者、受験生、就職先などの「ステークスホルダー」の需要を満たすの取り組み、政府や文科省の高等教育政策など、2013年上半期当時の大学にまつわる一話完結の四方山話が続く。読みやすい内容だったので、1時間半ほどで一気に読んだ。
著者自身は「哲学」の意義や「古典」の力を重んじているのだが、そうした大学教育の土台が議論されないままに進んでいく大学経営の流れに一石を投じている。

『ツール・ド・フランス 君が教えてくれた夏』

 Naco『ツール・ド・フランス 君が教えてくれた夏』(岩波書店 2009)を読む。
自転車の機材やレースの駆け引き技術といった男性的な視点ではなく、選手の素の姿やフランス旅行などの女性的視点からツール・ド・フランスを描く。読みやすい文章で、軽やかにツールの魅力が伝わってきた。


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