河本敏浩『名ばかり大学生:日本型教育制度の終焉』(光文社新書 2009)を読む。
東進ハイスクールで現代文・小論文講師として教壇に立ちながら、全国学力研究会理事長を務める著者が、「ゆとり教育」や学力低下の現状、受験競争と校内暴力や援助交際との因果関係、絶望的なまでの学力格差などについて語る。特に「ゆとり教育」と「学力低下」を短絡的に絡めて、高校までの教育に責任を押し付けようとする大学教員に対する舌鋒は鋭い。
最後に著者は、「学力低下」に対する方策として、高校卒業時に義務教育修了資格試験の実施を提案している。確かに分数の計算ができないとか、基本的な国語や英語の知識がないと指摘される大学生の基礎学力低下を考えると効果的であろう。