読書」カテゴリーアーカイブ

『鹿男あをによし』

万城目学『鹿男あをによし』(幻冬社 2007)を読む。
夏目漱石の『坊っちゃん』をネタにした学園教師ドラマと弱小剣道部が大活躍する青春ドラマ、邪馬台国への歴史ロマンの3つ要素が見事に融合したファンタージー小説である。
読み進めるうちに、これぞ小説といったぶっ飛んだスケールの広がりを楽しむことができた。

『自転車生活スタートガイド』

瀬戸圭祐『自転車生活スタートガイド』(水曜社 2006)を読む。
先月中旬に自転車転倒で怪我してしまい、もう一度自転車の乗り方の基本を学ぼうと手に取ってみた。
カラー写真満載の薄手の入門書なのだが、風の上手い避け方やブレーキレバー左右入れ替えなど高度な内容もあり、十分に楽しめることができた。著者は北米ロッキー山脈や欧州アルプス山脈など、世界五大山脈を走破した経験を持つアドベンチャーサイクリストでもある。
何事も基本が大切であり、油断大敵である。もう一度ハンドルの握り方やペダルの回し方から身につけ、大きな怪我をしないように心がけたい。

『自転車は街を救う』

水色の自転車の会編『自転車は街を救う:久留米市学生ボランティアによる共有自転車の試み』(新評論 2002)を読む。
福岡県南部にある久留米大学経済学部教授の駄田井正教授のゼミ生が中心となって始めた自転車シェアリングの2年間の取り組みがまとめられている。オランダ・アムステルダルのデポシステムやドイツ・ミュンスター市の自転車を優先する交通ルールの整備などを参考に、久留米市で市民のモラルを頼りに共有自転車の仕組みを作ろうとする学生の思い入れと、大人の都合がぶつかるところが面白かった。

ネットで検索したところ、現在は活動していないと思われるが、環境と健康の良いとこ取りの自転車の活用の試行錯誤は必ずや参考にされるであろう。先ほど、テレビ朝日の「サンデーステーション」という番組の中で、京都府立大学の松田法子教授が東京都心部の水上交通の可能性について語っていた。東京都心部は川や用水路が網の目のように流れているので、公共交通手段としてもっと注目されて良い。但し、岸辺に係留所を設けるにしても新たな駐車スペースを確保することは難しく、駐輪場の整備が求められるであろう。「自転車+水上交通」という形が近い将来に実現することを願うばかりである。

現在、国内自転車業界1位のブリヂストンサイクルだが、上尾に本社があるので、すっかり埼玉の会社かと思っていたが、久留米市が創業の地ということだ。元々は足袋を作っていた明治26年創業の「嶋屋」が大正時代に「日本足袋株式会社」となり、1931年に2代目社長の石橋正二郎が同社工場内にタイヤ部を設けて「ブリヂストンタイヤ株式会社」として独立し、さらに1949年に「ブリヂストンサイクル工業会社」として分離独立して現在に至っている。

『ブレーキのない自転車』

下重暁子『ブレーキのない自転車:私のまっすぐ人生論』(東京堂出版 2012)を読む。
NHKのアナウンサーや民放番組のキャスター、コメンテーターを経た後、幅広いジャンルの物書きとなった著者が、突如「日本自転車振興会」会長として活躍することになった6年間の顛末記である。在任中のオートレースとの合併や伊豆ベロドロームの建設、ガールズケイリンの立ち上げなどの裏話が紹介されている。自転車プロパーの話ではなく、JKAの会長も務めた著者自身の考え方や生き方に関するエッセイであり、女性タレントの本を読んでいるような感じであった。つまらない訳ではないが面白くもない本である。但し、東京ドームの地下に400メートルの競輪のバンクが埋まっているというのは初めて知った。

印象に残った一節を紹介しておきたい。

難しいと思うと、私は、必ず自分から出かけて行って交渉相手と直談判することにしていた。組織なのだから、順番があることはわかっているが、情報が伝わっていない事も多いため、私が直接相手のトップと会って話をした。簡単な事務的なことは別として人と人との交渉は、直接会わなければわからない。会って顔を見、言葉のニュアンスを嗅ぎわけることで理解も進み、うまくいく場合が多い。職員にも私は役所にしろ業界内にしろ、外の人にしろ、メールや電話ですませず大切な事は出かけていって直接顔を見て話すことをいつも言っていた。

政治でも野田佳彦総理と谷垣自民党総裁が国会討論の前に会ったとか会わないとか言っていたが、是非はともかく、会って話すことは全ての基本だ。恋人同士が隣に座ってお互いに会話もせずメールを交換している図など不気味でしかない。