読書」カテゴリーアーカイブ

『動物化するポストモダン』

東浩紀『動物化するポストモダン:オタクから見た日本社会』(講談社現代新書 2001)を読む。
ここ数日、いま子ども達がハマっている「ドラゴンボールヒーローズ」のカードを求めに、トレカショップに連れ立っている。店内では、意外にも10代後半から20代の男性客が「遊☆戯☆王カード」や「デュエルマスターズ」「バトルスピリッツ」など(私にはこれらのカードの違いがよく分からない)のカードなどに見入っていた。私自身も小学生低学年時分には「ウルトラマンカード」や「仮面ライダーカード」を集めていたが、高校生以上の人たちはカードバトルにどのような面白さを見出しているのだろうと手に取ってみた。

『動物化〜』は東氏の代表作でもあり、有名無名なテレビアニメやノベルゲームなどを題材に、オタクや萌え要素、パソコンゲームについて、大塚英志や岡田斗司夫の論を踏まえて現代思想の観点から論じている。「大きな物語」や「物語消費」「スノビズム」「シニシズム」など、評論文キーワード集に出てきそうな概念語を用いて丁寧に説明しているのだが、分かったような分からなような煙に巻かれたような印象の作品である。

分かった範囲でまとめるならば、「ドラゴンボールヒーローズ」のカードバトルは、東浩紀氏の言葉を借りれば、極めて「ポストモダン」的な趣味である。漫画やアニメ、ゲームでヒットした「ドラゴンボール」(鳥山明原作・集英社)のシュミラークルとして、消費者が新たに物語を読み込むようなデータベース型の世界像を遊ぶ仕掛けとなっている。以上。


ドラゴンボールヒーローズのホームページより


近所のカードショップ店内の様子。ショーケースに整然とカードが並ぶ。
一枚数千円するカードから、20円のカードまで、その価値の違いは分からない。


書かれている内容が理解できない。。。

『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』

宮﨑正弘『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉新書 2011)を読む。
「アラブの春」と呼ばれたチュニジアやリビア、エジプトでの革命の分析と、胡錦濤体制から習近平体制へ移行する時期の中国での革命の可能性についての論文である。
チュニジアでの「ジャスミン革命」とそれに続く「エジプト革命」「リビア内戦」について、体制派を支援する他国の思惑や、逆に反体制派に武器や資金を援助する国の狙いについて滔々と語る。重複する箇所も複数あったが、スンニ派とシーア派の対立や、中国政府と敵対関係にある東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)やチベット、台湾の情勢など鋭い警告を発している。
著者の上からの物言いが気に掛かったが、「敵の敵は味方」の論理でどんどん他国の紛争に介入してくる厭らしさや、国内の矛盾を海外進出で誤魔化そうとする政府当局の策略が理解できた。

『暗渠の宿』

西村賢太『暗渠の宿』(新潮文庫 2006)を読む。
野間文芸新人賞を受賞した表題作のほか、デビュー作『けがれなき酒のへど』が併録されている。
風俗女性に騙された体験や同棲する女性といざこざなど、著者自身の経歴が色濃く滲み出ており、大正・昭和初期のプロレタリア私小説を彷彿とさせる。
『暗渠〜』では、何度も登場する「慊りない」という語が印象的であった。

『現代社会学科への誘い』

京都文教大学現代社会学科編『現代社会学科への誘い』(文理閣 2010)をパラパラと読む。
京都文教大学人文学部現代社会学科の新入生全員に配布される「共通教材」となっている。経済学、経営学、法学、国際政治学の導入に関する内容で、おそらくは学科に関わる先生方全員が分担して執筆しているのであろう。編集者自ら「内容・形式そして使用方法も自由な『寄せ鍋』風の教材が誕生した」と述べているように、残念ながら一貫性のない単なるレジュメの寄せ集めに過ぎず、あまりに雑駁過ぎて読むのが辛かった。

『日本人とユダヤ人』

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』(角川文庫 1971)をパラパラと読む。
随分と古い本であるが、日本人独特な宗教観や時間感覚、安全や動物、奴隷に対する特別な意識など、日本の政治や社会、文化について、史実や他国の例などを挙げながら丁寧に説明している。

最後はイスラエル建国の正当性やキリスト教の解釈によって歪められたユダヤ教の正しい教えについての項で締めくくられる。作者は日本生まれの日本育ちのユダヤ人で、日本の古典や歴史にも造詣が深く、戦前には米軍による日本の調査にも加わり、戦後何度も日本を訪れているという、ぶっ飛んだ経歴の人物である。

イザヤ・ベンダサンなる人物は一体どういう素性の持ち主なんだとWikipediaで調べたところ、どうやら本物のユダヤ人ではなく、山本七平なる保守派の日本人評論家のペンネームのようだ。