『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』

宮﨑正弘『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉新書 2011)を読む。
「アラブの春」と呼ばれたチュニジアやリビア、エジプトでの革命の分析と、胡錦濤体制から習近平体制へ移行する時期の中国での革命の可能性についての論文である。
チュニジアでの「ジャスミン革命」とそれに続く「エジプト革命」「リビア内戦」について、体制派を支援する他国の思惑や、逆に反体制派に武器や資金を援助する国の狙いについて滔々と語る。重複する箇所も複数あったが、スンニ派とシーア派の対立や、中国政府と敵対関係にある東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)やチベット、台湾の情勢など鋭い警告を発している。
著者の上からの物言いが気に掛かったが、「敵の敵は味方」の論理でどんどん他国の紛争に介入してくる厭らしさや、国内の矛盾を海外進出で誤魔化そうとする政府当局の策略が理解できた。