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「イラク政治 転換の可能性 親イラン派大幅後退」

本日の東京新聞朝刊に、イラク政治の大きな転換点となる可能性もある、イラク国民議会選挙のの結果が報じられていた。記事によるとイスラム教シーア派の指導者サドル師派が、イランとの関係が深い他のシーア派勢力を退け、「イラク人よる統治」を訴えて、議会内で最大勢力となった。

イラクはスンニ派が4割、シーア派が6割と拮抗している。そのため、サダム・フセインが所属していたスンニ派のバアス党と、イランの支援を受けたシーア派勢力が対立し、常に周辺国の介入を招いてきた歴史がある。授業の中でも、イラクは1500年前の骨肉の争いを引きずっており、サダム・フセインのような独裁者でないとイラクの統治は難しいと偉そうに断言したばかりである。

恥ずかしながら、前言撤回となりそうである。サドル師は親イラン派勢力とも、親米のスンニ派勢力とも距離を置き、スンニ派過激組織のイスラム国を抑え込み、イラク共産党と連携し貧困の改善に取り組むという。私と同級生であるサドル師の手綱捌きに期待したい。

授業のふりかえり

名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に死亡した問題について、本日までの授業の中で触れました。
シリアやアフガニスタンの難民の状況、トルコやEU側の受け入れ、日本での難民・移民政策の実態、入国管理局の外国人収容施設の問題点、外国籍の方との結婚など、多岐にわたる内容を一気に詰め込みました。移民政策や難民問題は日本だけが抱えている問題ではありません。多くの国で多かれ少なかれ移民政策の課題を抱えています。そして、移民政策自体が常に賛否両論、総論賛成各論反対の側面を有しており、正解のない問題です。授業の中で、あえて皆さんの人生にも関わる問題だという側面を強調しました。

ウィシュマさんの名前で検索してもらえれば、これが今度の衆議院選挙の大きな争点の一つとなっていることが分かると思います。皆さん一人一人が自分の将来選択に関係する政治課題として捉えてほしいと思います。

 

「パキスタン『核開発の父』カーン博士死去」

本日の東京新聞夕刊に、パキスタンで1990年代末に核実験成功を主導したカーン博士が死去との記事が掲載されていた。記事にもある通り、カーン博士によって、パキスタンの核開発技術が北朝鮮やイラン、リビアに極秘裏に提供されている。

また、記事では触れていないが、カーン博士は共同通信のインタビューの中で、1980年代に来日し、日本企業に核兵器に必要な部品を注文したと話している。麻生内閣の時に、国会でも取り上げられたが、真相は闇の中である。しかし、日本は米、露、英、仏、中の5か国の核兵器国以外への核兵器の拡散を防止する核兵器不拡散条約(NPT)に締結しており、この件は明らかに条約違反である。北朝鮮の核開発に日本企業が貢献していたというのは、あまりに間抜けな話である。

「習氏、台湾統一『必ず実現』」

本日の東京新聞朝刊に、中国で、満洲族王朝の清が倒れ中華民国が建国された辛亥革命(1911)から110周年を記念する大会が開かれたとの記事が掲載されていた。壇上にはデカデカと孫文の写真が飾られ、習近平国家主席が「中国共産党は辛亥革命を主導した孫文の忠実な継承者だ」とし、台湾独立を牽制したとのこと。

世界史を普通に勉強すれば、孫文の後継者は蒋介石であり、台湾の中国国民党へと系譜がつながっていくはずである。辛亥革命を持ち出すならば陳独秀や毛沢東を全面に掲げるのが筋である。にも関わらず、中国共産党が孫文の継承者をアピールするということは、大陸との繋がりを重視する中国国民党と連携し、台湾の独立志向が強い民進党・蔡英文政権に揺さぶりをかける思惑が見え隠れする。習近平ともパイプも太い中国国民党・馬英九前総統が裏で動いているのであろうか。

「シェアサイクル 帰宅困難で利用か」

本日の東京新聞夕刊に、7日深夜の地震で電車が止まった際に、スマホで登録ができ、自宅近くで乗り捨て可能なシェアサイクルの利用が急増したとの記事が載っていた。

現在国や都が進めるICTを活用した持続可能なスマートシティ構想では、脱化石燃料や健康、観光の切り札として自転車の活用が謳われている。自転車から自動二輪車、自動車へと発展してきたが、これからの環境都市では再び自転車に注目が集まっている。

ただし、安物の自転車が使い捨てされている現在の日本の風潮は、本末転倒な話になってしまう。物を大事に使う、工夫するという点を大切にしたい。