地理」カテゴリーアーカイブ

論述採点終了

6時間ほどかけて、地理と世界史の論述の採点が終了しました。模範解答と採点のポイントをそれぞれのページに掲載しました。まだマークの点数と合わせていませんが、論述は2組が一番出来ていたように思います。

傾向がつかめたのか、全体的に読みやすい答えが多かったです。一文を短く、頭(主語)を軽くし、接続詞で繋いでいく書き方に慣れれば、英語や理科の試験でも十分通じる記述が書けるようになります。次回の3学期期末は全部マーク式になりますが、是非覚えておいてください。

一方で、漢字の間違いや漢字で書くべき語のひらがな表記が目立ちました。地歴の試験なので、過度には減点しませんが、小論文入試では致命的です。漢字検定2級レベルは書けるようにしてください。

100名超の生徒の文章を見るのは辛いですが、赤鉛筆片手に添削するのは楽しい作業でもあります。

モルドバ次期大統領 ロシア軍の全面撤退要求

本日の東京新聞朝刊より。
月曜日に2組の地理の授業でも熱弁したロシア周辺の国際政治に関する記事です。授業でも触れましたが、ロシアは原油や天然ガスしか輸出するものがないモノカルチャー経済に陥っています。ロシアは旧ソ連の周辺国に原油や天然ガスのパイプラインを敷設し、東欧全域やドイツに資源を輸送しています。パイプラインはロシアにとってまさにライフラインなので、パイプラインに沿ってロシア軍が駐留しており、パイプラインの警護だけでなく、周辺国の政治状況にも目を光らせています。

特に欧州最大の工業国であるドイツに原油を送るドルジバパイプラインは世界第1位の長さを誇っています。そのドルジバパイプラインが、ルカシェンコ大統領の6選問題で揺れるベラルーシを経由している事実の持つ意味は理解できているかと思います。なお、記事にあるモルドバの東部は沿ドニエステル共和国と称し、事実上ロシアの息のかかった地域となっています。学校の地図帳で確認できますが、モルドバ東部にはロシアの天然ガスパイプラインが通っています。3学期はモルドバの紛争を紹介するのでしょうか。

ちなみに、世界第2位の原由パイプライン(バクー・トビリシ・ジェイハンパイプライン)はアゼルバイジャンのバクー油田と反ロシアを鮮明にするジョージア、トルコを結んでいます。分かりやすですね。

「漁業権などで溝埋まらず」

本日の東京新聞朝刊より
ずいぶんと昔の話に感じてしまうが、今年の2月にイギリスが正式にEUから離脱をしました。但し、急に離脱をすると混乱を生じるので、当初から今年末までに離脱準備期間を置くことが決まっていました。イギリス側もEU側も政治的な離脱に関して意見の隔たりはないのですが、イギリスとEUの間で関税を撤廃する自由貿易協定(Free Trade Agreement)については難交渉が予想されていました。

もう12月も中旬に入ろうとしていますが、いまだに双方の間で漁業権や企業の自由競争のルール、FTA違反時の取り決めの3つの分野で対立が生じているようです。このまま対立が続くと、日本とイギリスの間ではすでに経済連携協定(Economic Partnership Agreement)を結んでいるので、日英間の貿易がより活発化していくでしょうか。

「30年代半ば 全新車電動に」

本日の東京新聞朝刊の記事より。
すでに、本日の時点で1組と3・4組の地理の試験範囲は終了しています。最後の授業の中で、日本のエネルギー政策の根幹に関わる話題に触れました。
記事にあるように、50年までに温室効果ガス排出量をゼロにするという政策の裏には、原油や石炭や天然ガスに頼らず、原子力と再生可能エネルギーにシフトする意図が隠されています。確かに電気自動車は、運転中に化石燃料を燃やすことがないので、地球に優しいといったクリーンなイメージがあります。しかし、ではその大量の電力をどうやって作り出すのでしょうか。

私は地球温暖化という錦の御旗を利用した原発の活用は止めるべきだと考えています。日本のような島国で山がちで地震の多い国は、無駄な電力利用を控えた上で、天然ガスタービンと蒸気タービンを併用するコンバインドサイクル発電の研究を進めていくべきです。公立高校の地理の教員なので、学習指導要領の「北方領土はわが国の固有の領土である」点を取り扱わなければなりません。歴史的にみても北方四島は日本の領土だということに異存はないのですが、私は千島列島を経由した天然ガスパイプラインの建設も視野に入れるべきだと思います。

原発が地震に弱いということは、皆さんもご存知でしょう。一方、天然ガスは空気に比べて軽いので、万が一地震などでパイプラインや発電所が損傷を受けても、空気中に拡散するだけでほとんど被害が出ません。

ただし、私自身の考えを押し付けるつもりはありません。授業中もあえて「う〜ん」という擬態語を多用して、皆さん自身が考えてほしいテーマだというメッセージとしました。また、3学期の授業でも触れたいと思います。

「香港 周庭氏に禁錮10ヶ月」

本日の東京新聞朝刊記事より。
先日紹介した「民主化の女神」とも称される周庭さんが禁錮10ヶ月の実刑判決を受けたとの報道です。記事によると、上告は棄却され判決はすでに結審されている模様。
世界史でも地理でも香港情勢を扱っています。ちょうど世界史で阿片戦争終結後の南京条約による割譲、九龍半島北部の租借という話に入ってきました。また、地理では中国は多くの自治区を抱えており、強圧的に反政府活動を抑え込むことで、ウイグルや内モンゴル自治区、台湾への圧力となる見せしめ効果の側面について説明してきました。
では、なぜ中国がこうした強権政治を突っ走って行くのかという疑問を掘り下げていくことで、世界全体の動きが見えてくると思います。