酒見賢一『童貞』(講談社文庫 1998)を読む。
なにやらいかがわしい内容を連想させるタイトルであるが、出版はフランス書院ではなく講談社である。中身はアダルト小説ではなく、中国の神話を基にしたファンタジー小説となっている。
「河」の辺にある男尊女卑の邑に住んでいた美少年の男が、河の女神を犯し、勢いで母娘を殺戮し、各地を彷徨する途中で「江」に一族のルーツを持つ娘と出会い、生涯を共にすることを誓うという大団円で話は終焉する。「作者蛇足」によると、夏王朝の伝説的な帝である禹に纏る神話を基にしているそうだ。ちょうど『古事記』の日本武尊の伝説を読んでいるような読後感を持った。
投稿者「heavysnow」のアーカイブ
本日の新聞から
本日の新聞やテレビで、愛知県にある不登校の生徒の支援を掲げた全寮制の私立黄柳野高校の喫煙の問題が大きく報じられた。報道によると、この学校は約3割の生徒が喫煙をしており、学校側としてもやむを得なく生徒寮に「禁煙指導室」と名付けた喫煙室を設け、喫緊の火災やマナー違反を防ぎ、長期的な視野で禁煙指導を行なっていたそうだ。
この問題に対して教育評論家尾木直樹は、教育の範囲を逸脱していると述べていた。外部からはああだこうだと言えるだろうが、生徒の喫煙に対して正面から向き合おうとする校長を始めとする教員側の思いを汲むべきである。全日制高校では続かなかった生徒を受け入れている学校であり、それなりの対応が求められ、、、、、、
『オール1の落ちこぼれ,教師になる』
宮本延春『オール1の落ちこぼれ,教師になる』(角川書店 2006)を読む。
タイトルの通り,中学校時代オール1の成績表をもらいながらも,見事難関国立大学に合格し,現在は教員として活躍する著者の半生記である。
著者は,中学卒業後見習い大工となり,18歳両親と死別し天涯孤独の身となったが,音楽と少林寺拳法に出会い,アインシュタインのビデオを見て感動したことで23歳で通信制高校に入学,そして,現在の妻の励ましもあって見事に「現役」で名古屋大学理学部に入学したというドラマのような波瀾万丈な人生を送ってきた。そして,大学院を終了後,現在は,数学の教員として母校の私立豊川高校の教壇に立っている。
日本酒を飲みながら読んだので途中の記憶が曖昧であるが,「新米」教師の熱い教育観がひしひしと伝わってくる。
パンフレット研究:麗澤大学
麗澤大学のパンフレットを読む。
千葉県柏市に位置し,外国語学部と経済学部の2学部からなる大学である。1959年に開学した中規模大学である。これまでさんざん見てきた,郊外型大学にありがちな,スポーツを売りした学科や資格取得支援プログラム,キレイな校舎などに頼ることなく,大学の理念や授業を前面に打ち出しており大変好印象である。教育課程もすっきりとしており,純粋に授業を楽しめそうだ。外国語学部は受験生が十分に集まっているが,経済学部は少々苦戦している。
1泊2日のオープンキャンパスがあるのが面白い。最近は駅伝に力を入れているようであるが,他の大学に見られる新興私立高校のような改革を突き進んでほしくはない。
『ゴーマニズム宣言:差別論スペシャル』
小林よしのり『ゴーマニズム宣言:差別論スペシャル』(解放出版社 1995)を読む。
全編同和問題についての漫画や対談で占められている。その中で著者小林氏は,部落解放同盟の代表との会談などを通じて,部落差別の実態を丁寧に描き,そして,自らの差別意識を明確に示した上で,同和問題の解決に向けた糸口を示している。
この当時の小林氏は,一漫画家として自分の立場を明らかにした上で,聖域無き表現の自由に挑んでおり共感が持てる。なぜこの頃のような挑戦者としてのスタイルを貫き通せなかったのだろうか。
『ジャパニーズ土人くん』を描いていいのかどうかという問題のちょうど逆のテーマもあります。例えば『裏天皇』というのを描きたいんです。熊沢天皇とかいたけど,そういう発想があるんですよ。『裏天皇』も描いていいのかどうか,これもその辺の問題を煮詰めていかないとやれないけど,これをやるとすごく面白いことが出てくるんですよ。ところがこれだって描けないでしょ。『ジャパニーズ土人くん』も描けなければ『裏天皇』だってやれないだろうという,この情況をなんとかせんといかんから,今『ゴー宣』をやってるんだってことですよね。
