投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『映画少年・淀川長治』

荒井魏『映画少年・淀川長治』(岩波ジュニア新書,2000)をパラパラと読む。
1966年に始まり亡くなる直前の1998年まで32年間にわたって、テレビ朝日の日曜洋画劇場の解説を担当された映画評論家である。「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」の語り口が今でも頭の片隅に残っている。本書では少年の頃から映画に関わり、生涯にわたって映画を愛し続け、映画によって人生を学ぶことができると語った淀川氏の若い頃を中心に紹介されている。

『職人を生きる』

鮫島敦『職人を生きる』(岩波ジュニア新書,2008)をパラっと読む。
飴細工や藍染、鞄や鰻など、老舗の職人の技術や経歴、仕事にかける思いなどが紹介されている。
面白そうな内容なのだが、文章のリズムが合わなかった。例えば冒頭の書き出しが以下の件である。

東武伊勢崎線・亀戸線の曳舟駅を降り、水戸街道を越えた先に、なんとも昔懐かしい商店街が続いている。墨田区向島、哀愁を感じさせる狭い商店街を一本わき道にそれると、品をたたえたこぎれいな店舗が目に入る。
暖簾には、「羽子板 鴻月」の文字。店内を覗くと、豪華絢爛、華やかな押絵羽子板が目に飛び込んでくる

ってな調子である。読むのが苦痛になって途中で読むのをやめてしまった。

『アフリカは遠いか』

楠原彰『アフリカは遠いか』(すずさわ書店,1981)をパラパラと読む。
著者は執筆当時、國學院大学文学部で教育学を専門としている学者であった。
1979年から1980年にかけてアフリカの旅の途上で、雑誌や新聞社に送った現地レポートやコラムなどがまとめられている。そのため、時系列順に

『うたかた』

渡辺淳一『うたかた』(講談社,1990)を読む。
1989年2月から1990年2月にかけて読売新聞に連載された小説である。上下巻でかなりのボリュームであった。今でいうところの「W不倫」に関する話である。50代に差し掛かった中年男性と30代半ばの女性が、妊娠や夫からの暴力などに悩まされながらも、しがらみを振り切って愛を貫こうとする。それぞれ相手のことを思うよりも、相手の家族に配慮する場面が多いのは、不倫小説ならではの展開である。
途中、際どい濡場のシーンが挿入されるが、あとがきによると、新聞紙面では限りがあったので、単行本にする際に加筆したとのこと。程よい濡場のシーンが小説にリズムを与えている。