『うたかた』

渡辺淳一『うたかた』(講談社,1990)を読む。
1989年2月から1990年2月にかけて読売新聞に連載された小説である。上下巻でかなりのボリュームであった。今でいうところの「W不倫」に関する話である。50代に差し掛かった中年男性と30代半ばの女性が、妊娠や夫からの暴力などに悩まされながらも、しがらみを振り切って愛を貫こうとする。それぞれ相手のことを思うよりも、相手の家族に配慮する場面が多いのは、不倫小説ならではの展開である。
途中、際どい濡場のシーンが挿入されるが、あとがきによると、新聞紙面では限りがあったので、単行本にする際に加筆したとのこと。程よい濡場のシーンが小説にリズムを与えている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.