第134回直木賞受賞をはじめ、数々の賞を受賞した、東野圭吾『容疑者Xの献身』(文春文庫 2008)を読む。
確かに前評判通り面白い作品であった。ミステリーの要素と文章中に表れていない登場人物の複雑な思いが上手く表現されていて、名作に値する作品であった。最後の最後のページで、加害者でもあり被害者でもある石神の咆哮が描かれるのだが、脳裏に残るシーンであった。
もう少し登場人物の心模様を描いてほしいという気持ちもあったのだが、夏目漱石の『こころ』に登場するKのように、心の動きを全く省いて、読者の想像に任せるスタイルもまた良いのかもしれない。
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『予知夢』
東野圭吾『予知夢』(文春文庫 2003)を読む。
幽体離脱や霊、予知夢といったオカルト要素を科学や論理の力で解明するミステリー短編集である。
『自分さがしの旅』
斎藤一人『自分さがしの旅』(KKロングセラーズ 2012)をパラパラと読む。
人生を主体的に前向きに生きていこうという自己啓発本である。著者のことを全く知らないで読んだこともあり、途中で読むのをやめた。この手の本は著者の背景と合わせて読むべきである。
『探偵ガリレオ』
東野圭吾『探偵ガリレオ』(文春文庫 2002)を読む。
1998年に刊行された本の文庫化である。長らく本棚に眠っていた本である。女性ファンが多いのも頷ける作品である。
「ヒマラヤ越えの鉄道!?」
本日の東京新聞夕刊にヒマラヤを越えて中国チベット自治区とネパールの首都カトマンズを繋ぐ鉄道計画が報じられていた。正直カトマンズまで鉄道路線を敷いたところで、飛行機の方が圧倒的に利便性が高く、観光客は限られるであろう。一帯一路経済圏を拡大しようとする中国側の物流網の整備という思惑が強く働いているのであろう。
むしろ、私が気になったのが今も隆起が続くヒマラヤ山脈で、線路を敷くが可能なのかという疑問である。ネットで調べたところ、以下のような計測結果があるとのこと。
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計測方法でばらつきはあるものの、およそ100年間で1m近く隆起していることが分かる。ヒマラヤ山脈は、約4000万年前に、インドプレートに乗っかってアフリカ大陸から切り離されたインド半島が、ユーラシアプレートに衝突して隆起した山脈である。そして現在もインドプレートは、インド洋南部の海嶺の動きによってユーラシアプレートに圧力をかけ続けている。これほど成長著しい山脈にトンネルや鉄橋を建設するのは極めて危険である。
また、地球温暖化によりヒマラヤ山脈の万年雪や氷河が溶け始めている。授業中にも紹介したパキスタンでのインダス川の氾濫の要因にヒマラヤ山脈の気温上昇が挙げられている。地震だけでなく、温暖化の2つの危険があり、ヒマラヤ越えの鉄道建設は「無謀」と言わざるを得ない。

