投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『春昼・春昼後刻』

 泉鏡花『春昼・春昼後刻』(岩波新書 1987)を読む。
 明治39年に書かれた作品である。神奈川県の逗子を舞台に、ある散策子がひょんなことから寺の坊主から男女の恋物語を聞き、その恋物語世界と現実世界が奇妙に交錯していく。そして一体現実世界なのか、芝居なのか、はたまた夢の中なのか判然としないまま話が展開していく。文語が入り混じった読みにくい語り口ではあるが、村上龍の初期の作品にも似た現代文学風な感じもする。

 相も変わらず勉強は捗々しくない。いよいよ残り一ヶ月を切った。この時期に泉鏡花を読み耽るとは、完全に「逃避」そのものである。。。

『スウェーデンの挑戦』

岡沢憲芙『スウェーデンの挑戦』(岩波新書 1991)を読む。
今日から少しずつ勉強を始めるも全く集中できず。とりあえずデンマークのバンク・ミケルセンにより提唱され、スウェーデンのベングト・ニリエにより世界中に広められた「ノーマライゼーション」について流れを押さえようと一冊本を読んだ。

しかし、残念なことに福祉についての記述はあまりなく、「人権・平和・福祉」を拡充発展させてきた社民党の議会政治の手腕と労使協調路線の実態の説明に終始していた。スウェーデンでは、議会においても労使交渉においても徹底した議論による「妥協主義」が貫かれており、さらに、福祉重視主義という国民のコンセンサスが一致しているので、極めてプラグマティズムな政治が展開されているという。筆者の言葉を借りれば、スウェーデンの社会建設技法は次のように表現される。

生産過程は資本主義的競争原理で高い生産性を維持しながら、分配過程は社会主義的な平等原理で徹底的な所得再配分をする国。その意味で社会主義と資本主義の「中間の道」もしくは、純社会主義でもない純資本主義でもない「第三の道」。労働市場政策を産業政策と連動させ、巧妙に産業構造の転換を実現した国。「福祉か成長か」の二者択一論から「福祉も成長も雇用も」論に挑戦した社会工学の実験室……。

残念ながら、今年の9月の選挙で、長らく続いた社民党政権が崩壊し、右派中道連合政権が勝利し、フレデリック・ラインフェルトという41歳の若い首相が誕生した。規制緩和や国営企業の民営化、失業保険の削減など福祉政策の見直しに着手するとのことだが、「政権担当能力がない」と揶揄されてきた自由主義勢力が、世界で最も強固な労働組合との交渉の中で、どのような手腕を見せるのか。官僚主義に毒されているスウェーデンの福祉政策の改革を進め、新たな福祉国家としての理想像を描いてほしいものだ。

『半落ち』

横山秀夫『半落ち』(講談社 2002)を読む。
特に特筆すべき感想はない。最後まで謎に包まれた主人公に、周りの登場人物だけでなく読者も巻き込んでいくような展開は良かった。

相変わらず勉強は捗らない。分厚い過去問題集を前に、勉強の計画だけ立てる。

『FOR BEGINNERSシリーズ 障害者』

後藤安彦/文・貝原浩/絵『FOR BEGINNERSシリーズ 障害者』(現代書館 1995)を読む。
脳性麻痺という「障害」を抱えた当事者として、車椅子の不便さや、人を傷つける「おそれ」があると精神病認定者を強制入院させてしまう法の危険性、また親の保護を巣立っていく自立の難しさなど経験を踏まえて論じる。障害者だからといって結婚や出産を制限されたり、逆に塙保己一といったように障害者のあるべき「理想」的生き方を強いられるのは個人の人権を踏みにじるものだと、著者は口吻するどい。

「障害者自立支援法」

本日の東京新聞朝刊に、今年の4月より施行された「障害者自立支援法」の問題点を指摘する記事が掲載されていた。「自立支援法」はこれまでの障害者保護から、ノーマライゼーションに則った障害者の自立を促すものだと厚労省は宣伝するが、実態は予算もやる気もない市町村に丸投げしている形だ。結果、障害者の自立どころか、一割負担ルールに耐えられずサービス利用を手控えざるを得ない利用者が激増し、果ては通所施設で働く職員の人件費がカットされ、福祉業界そのものが地盤沈下しているというのだ。

障害者自立支援法の第3条では「すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならない」と定め、市町村に対しては第2条にて「障害者が自ら選択した場所に居住し、又は障害者若しくは障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該市町村の区域における障害者等の生活の実態を把握した上で、公共職業安定所その他の職業リハビリテーションの措置を実施する機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、必要な自立支援給付及び地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行うこと」と定めているが、実態はお粗末な限りである。
障害者自立支援法の理念はあくまで生かしつつ、現状改善を目指すべきだと考える。そのためには事業所への報酬の一割負担ルールを早急に見直し、施設への補助を増額し、財政的裏付けのある自立政策をとるべきであろう。