投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『思川バルーン』

白鴎大学の生徒募集担当の方より貰った,楽月慎『思川バルーン』(幻戯書房 2008)を読む。
作者自身の白鴎大学での楽しい思い出と,時代の波に流される学生時代の儚い青春が,白鴎大学の脇を流れる思川周辺の光景と重なる。栃木県の小山周辺に住むごく平凡な若者たちのごく平凡な日常が描かれる。断片的な思い出を繋いだだけの起承転結のない小説であるが,観光橋や大平山の風景が目の前に浮かんできて,読者自身も登場人物たちの脇にいるような錯覚に陥る。また作者も登場人物も1994年に大学に入学しており,ちょうど私と同じ時代に学生時代を過ごしたのかと思うと,親近感を抱いた。そう思うと,この小説も夏目漱石の『三四郎』の白鴎大学バージョンと称して良いのかもしれない。

そもそも,就職活動を始める前から就職難,氷河期,低倍率,三人に一人とか騒がれているんだから,みんな一斉になにもしなければよかったんだ。そうすれば団塊世代のオヤジたちが,「やってられっか,くされ大学! 金返せ,バカ野郎。こっちは苦労して子どもを大学に行かせてんだ。だから,なにがなんでも就職させろっ,ボケ。窓,割るぞ,ゴラァッ」と,いつのまにか導入されたデスクの上のウィンドウズ95の画面をぶち壊し,会社を抜け出してヘルメットを被り,全国至るところの大学で暴れてくれたかもしれない。……かも,しれない……。

『東大合格生のノートは必ず美しい』

太田あや『東大合格生のノートは必ず美しい』(文藝春秋 2008)を読む。
勤務先の学校の黒板がホワイトボードに替わり,これまで以上に自分自身の板書の字の汚さが目につき,レイアウトだけでも見やすさに工夫を凝らし,字の汚さをカバーしたいと思い手に取ってみた。
サンプルとして掲載されているノートは,決してタイトル通りの見栄えの美しいものばかりではない。しかし,ただ板書事項をきれいに写すのではなく,余白や色ペンなどを用いて,自分なりのスタイルで自分の頭で理解しようとする工夫が見られた。授業を聞ききながら,自分の頭の中で理解の過程を文字と絵で再編成するといった感じだ。板書をする教員という立場ではまるごと参考になったわけでないが,黒板にただ生徒が書き写すための文字を書いていれば良いという時代は確実に終わりを告げつつある。その予兆だけは強く感じた。

〈東大ノート7つの法則〉

と:とにかく文頭は揃える
う:写す必要がなければコピー
だ:大胆に余白をとる
い:インデックスを活用
の:ノートは区切りが肝心
お:オリジナルのフォーマットを持つ
と:当然,丁寧に書いている

パンフレット研究:貞静学園短期大学

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貞静学園短期大学のパンフレットを読む。
文京区茗荷谷にある貞静学園中学高等学校に併設されている貞静学園保育福祉専門学校から,保育課程が独立し,来年4月より新たに短期大学として生まれ変わる。そのためパンフレットも学校紹介のイメージ写真が並ぶかわいらしいものである。選考方法であるが,一般入試20名に対し,指定校推薦が100名,公募推薦が20名,AOが10名となっている。保育福祉専門学校に介護福祉課程を残し,保育のみを短大に移行させるというのは近年の受験生の動向を考慮するに無難な選択であろう。

パンフレット研究:聖学院大学

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埼玉県上尾市の外れにあるキリスト教の大学である。数年前の夏,司書教諭講習に25日間通った私の第2の母校でもある。当時,バイクで通っていて,構内で突然オイルが噴き出してしまい,バイク屋に引き取りに来てもらってメインジェットを交換したりと思い出も深い。
「面倒見の良い大学。入って伸びる大学。」を宣伝文句としており,徹底した少人数教育を図っている。政治経済学部,人文学部,人間福祉学部の3学部からなり,一学年700名弱のこぢんまりとした学校である。推薦入試もAO入試も倍率は2倍を超えておらず,比較的入りやすいが,全学科できちんと定員は確保されている。母体そのものが少ないこともあるが,昨年の社会福祉士国家試験では合格率では68%で私大1位を取ったとのこと。あまりがつがつせず,品の良いキリスト教系の高校のような雰囲気を醸し出している学校である。

聖学院大学がセンター入試を導入しない理由として,「聖学院大学はキリスト教大学ですので教職員が日曜礼拝を守るという立場から日曜日に入試を行なうことを開学以来してきませんでした。センター試験を導入することは,大学を試験会場として提供するだけでなく教職員が試験監督として働く仕組みとなっていますので,本学のアイデンティティであるキリスト教学校のよき伝統と相反することとなります」と丁寧に述べられている。

パンフレット研究:流通経済大学

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ペリカン便でお馴染みの日本通運が母体となって,1965年に創設された新しい大学である。流通や物流のビジネスの発展を開学の目的の置いており,実学主義・少人数主義の徹底を貫いている。現在では経済学部,社会学部,流通情報学部,法学部,そしてスポーツ健康科学部の5学部からなる中規模総合大学へと変貌を遂げてる。
茨城県の竜ケ崎キャンパスと千葉県にある新松戸キャンパスの2つからキャンパスを選択するシステムになっており,両キャンパスに同じ科目が設置されている。重点部としてサッカー,ラグビー,硬式野球,柔道,剣道,駅伝,アメリカンフットボールなどが指定されており,これらの部に所属する学生は竜ケ崎キャンパスで寮生活を送り,4年間競技に集中できる環境が用意されている。他大学のように法学部や商学部の中にスポーツコースを設けるよりも,スポーツ健康科学部を設置してずばり「アスリート養成」を謳うのはすっきりとして感じが良い。
聞くところによると,ギャルやギャル男といった地元の派手な学生が多いということだ。付属の柏高校からの進学者もほとんどいないようだ。学部再編も含めた思い切った改革が必要であろう。

新松戸キャンパスの紹介ページに「近代的でありながら解放感あふれるモダンなキャンパス」と誤植があった。たった一文字であるが,感性に訴えるパンフレットなので印象は悪い。