「9・11後の世界:あの日は何だったのか」

本日の東京新聞の夕刊に西谷修氏の「9・11後の世界:あの日は何だったのか」と題したコラムが載っていた。
その中で、西谷氏は「平和」と「安全」の違いを指摘する。国と国との「戦争」はいずれ終結することで「平和」がやってくる。しかし、「テロ」集団との戦いは相手が見えず、不断に「安全」を確保するために軍事行動を続けなくてはならなくなると述べる。イラク戦争で問われているのは暫定政府への平穏な政権委譲によってもたらされる「平和」の定義ではなく、文明社会を遮二無二守ろうとする米国の際限ない「安全」の定義である。

「テロと戦争」の発動以来、「平和」という観念は追放された。代わって「安全」が戦争の旗印になる。「米国の安全のために、米軍は国外で戦い続ける」、二期目の出馬に際してブッシュはそう強調した。そしてこの戦争は、「文明世界」に属するあらゆる国々が参加すべき戦いだとも言う。豊かさのなかで「安全」に生きるためには、終わりのない戦争を続けねばならないというのだろうか。豊かさと繁栄は「平和」とともにあるのではなく、戦争によって確保される「安全」のもとにしかないと。

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