『漢方小説』

第28回すばる文学賞受賞作、中島たい子『漢方小説』(集英社文庫 2008)を読む。
前厄間近の31歳の独身女性が、男性や仕事にふられたことをきっかけに体の調子を崩していく。しかし漢方治療をきっかけに、心身全てバランスを整えていくことの大切さを知り、人間関係や仕事関係のバランスを修復し元気を回復する過程を描く。脚本家でもある中島さん自身が主人公となった「私小説」の趣のある作品となっているが、明治大正期の自然主義のようにじめじめしてはおらず、スッと読めて、サラッと忘れるスポーツドリンクのような味わいの作品であった。

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