「英、EU離脱完了 混乱警戒」

本日の東京新聞朝刊より。
今年の1月1日より英国がEUから離脱をした。授業で触れたところであるが、英国の正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(UK)」といい、イングランドとスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国の連合国である。

特にスコットランドは、イングランド主導のUKに違和感を感じる人が多く、2014年に独立住民投票が行われている。その時は44.7%対55.3%で否決されたのだが、EU離脱に伴う混乱が長期化下場合、次の住民投票の結果は大きく変わるであろう。また、北アイルランドもEUに留まっているアイルランドへと接近を探ることになるであろう。

日本は英国と昨秋、経済連携協定(EPA)を締結させており、今月1月1日からの施行となっている。経済連携協定とは、関税だけでなく知的財産の保護や投資ルールの整備なども含めた幅広い分野での協定である。日本と英国の間の協定もスコットランドの独立によって、全てご破産となる可能性がある。

地球温暖化によって、北極海の氷が溶け(授業の中で、暖流である北大西洋海流の影響で触れました)、新たに北極海の資源や航路を巡って米中露が対立を深めている。トランプ前大統領のグリーンランド購入といった話も、北極海開発の中で出てきた話である。

日本とヨーロッパを結ぶ航路は、エジプトのスエズ運河とシンガポールのマラッカ海峡を経由したルートである。イエメン周辺や南シナ海など地政学的リスクは大きい航路であると言わざるを得ない。一方、現在開発が進んでいる北極海ルートはスエズ航路に比べ3割ほど日程も燃料も少なくなるとの計算もある。

日本と英国の貿易も、近い将来北極海航路を経由したものになるかもしれない。そうなるとインド洋周辺国との関係も大きく変わっていくことであろう。
3学期の授業といっても、実質4週間程度だが、日々動いていく地理の面白さを伝えていくことができればと思う。