澤地久枝『澤地久枝対談集 語りつぐべきこと』(岩波書店,1988)を読む。
昭和5(1930)年生まれの澤地さんが、はっきりとした戦争経験を持つ明治・大正生まれの方々との対談を通して、昭和の時代の歴史と生活と戦争について語られている。
確かに昭和の時代を感じる話が多かった。『橋のない川』の住井すえは、女性の自立について次のように語る。
うちをほっていてね。女が外へ出るのは一つの流行なんですかね。
経済的自立という名につられて資本主義の奴隷になるのが現状ではないですか。資本主義の奴隷になって、ときには指を切ったりします。家の中にいることこそ自立かもしれませんよ。
女たちは何もする必要はないのです。まず、家庭を十分に守れば、それ以上に人類を守ることはないわけです。食卓にパック詰めを並べるようなことはしないで、料理をしたり子供の着るものを手縫いしていれば、時間は足りないくらいだと思います。
また、丸木美術館の丸木位里・丸木俊との対談で、丸木俊は人権教育について次のように語る。
まず、学校の先生も親ももっと一生懸命勉強しなきゃ。子どもに何を教えたらいいかということを考えなきゃね。試験勉強ばっかりさせないで、そういうことを教師も親もよく考えて、教えないと。