『花を旅する』

栗田勇『花を旅する』(岩波新書 2001)をパラパラと読む。
著者は古典に造詣の深い研究者で、駒沢女子大学で教鞭を取る一方、作家として活躍されている。2「NHKラジオ深夜便」(2000年)での放送が元になっており、一年を象徴する12の花を古典の和歌とともに紹介するという上品な内容となっている。4月は桜、5月藤、6月あやめ、7月百合、8月蓮、9月萩、10月菊、11月紅葉、12月花祭り、1月松、2月梅、3月椿の12(?)の花が取り上げられている。

勉強になったところを書き抜いておきたい。日本はユリの王国と呼ばれており、世界で80種類の原種のうち、6分の1が日本産だそうだ。また、蓮は仏教の極楽浄土のイメージを有する花である。花自体は朝の4時5時に咲いて、昼には萎んでしまう。泥の中から大きな葉を広げるというところから、大乗仏教の法典として法華経が世界に広がっているが、法華経の正式名称は妙法蓮華経である。旧暦9月9日の重用の節句は菊の節句とも呼ばれている。また、梅は8世紀に日本に入ってきた。