高橋富雄『東北歴史紀行』(岩波ジュニア新書 1985)をパラパラと読む。
著者は岩手県生まれで、東北帝国大学を卒業し、旧制第2高等学校講師を経て東北大学教授を定年まで務めた生粋の東北人である。
『奥の細道』の芭蕉の足跡を辿るという形を取りながら、東北各地の旧跡が丁寧に紹介されている。とりわけ奥州藤原氏が栄華を誇った平泉について造詣が深い。平泉は仙台の多賀城や福島の白川関、青森の外ヶ浜のちょうど真ん中にあって、東北地方全域を治めやすい位置にある。また四神相応といって、東に青龍(大河)が流れ、西に白虎(大道)、南に朱雀(沼沢湿地)、北に玄武(山)を背負っており、奈良や京都と全く同じ地形を有している。