米軍のオスプレイを載せ、関門海峡を航行する民間輸送船「グリーンリッジ」=22日午後7時35分、山口県下関市沖で共同通信社ヘリから
本日の東京新聞朝刊に、「オスプレイどう着地」と題した課題検証の記事が掲載されていた。
米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの日本到着が今月23日に迫っているのだが、危険性に対する懸念は拭えないまま、山口県岩国市の岩国基地と沖縄県宜野湾市の普天間飛行場の地元への押しつけが強行されている。しかし、肝心の日本政府は日米安全保障条約で事前協議の対象となる「装備の重要な変更」に該当せず、政治が介入できる問題ではないという姿勢を貫いている。一方オスプレイ開発には4千社が関与しているとされ、同盟国から「不良品」のレッテルを貼られては、今後の調達計画、ひいては国防戦略が狂うことは避けたいという米政府の本音もあるようだ。
しかし、ど素人が見ても、アニメ『超時空要塞マクロス』の「バルキリー」みたいに、ヘリコプター型の「垂直離着陸モード」から、「固定翼モード」へ「変身」するのは構造上無理があると言わざるを得ない。実際、「バルキリー」だって、「戦闘機」から「ロボット」の変身はスムーズではなく、せっかく作ったプラモデルが一度の変身で粉々になってしまった記憶がある(笑)。
では、そもそもオスプレイが日本に配備される必然性があるのだろうか。オスプレイは米海兵隊の主力兵員輸送機であり、ヘリコプターに比べ航続距離は5倍以上ある。空中輸送すれば朝鮮半島や中国まで航続可能という代物である。玄葉外相は「沖縄・南西諸島の防衛も含めて、安全保障面で抑止力が高まる」と述べているが、ある政務三役は「日本はまるで米国防総省の出先機関だ」とぼやいているという。
日本のマスコミは北朝鮮の異質性や中国の横暴をやたらに書き立てるが、米国やイスラエルを中心とした軍産複合体の拡大路線に対する批判は滅法弱い。正しくは中国や北朝鮮との正式な外交ルートや民間の草の根ネットワークを強化し、日本に対して牽制的な行動ができないような外交政策が大前提なのである。米軍の威力を背景にした日米安保を前提とした外交は敵を生むだけである。北アジアにおける共同防衛、相互監視、経済協調を柱とした枠組み作りが求められる。と同時に、それは先の侵略戦争に対する日本の独善的な歴史認識を改め、日中、日韓を含めた特に19世紀以降の北アジアの史実・史料に忠実に基づいた共同の歴史認識の醸成が欠かせない。
オスプレイはこと軍用機の安全性という問題だけでなく、それを受け入れる日本政府や防衛省の動き、そしてそれを拒否するための日本の政治や外交、歴史といった哲学が問われているのではないか。