望月衣塑子『新聞記者』(角川新書 2017)を読む。
東京新聞社会部記者の著者が,新聞記者の仕事や菅官房長官とのやり取りの舞台裏などを語る。
警察や永田町,記者クラブなど「大人の空気」が支配する場において,敢えて空気を読まない選択をする望月さんの強さを感じた。
日本社会のあらゆる職場や団体,会合,学校などで,「あえて流れに棹さすのはねえ」「なあなあに済ませよう」「まあ,いいか」「言っても仕方ないし」といったムードが蔓延している。でも,発言しないということは責任を逃れるということであり,引いては回り回って自分を苦しめることである。
望月さんを見習い,「えっ」「ちょっと待てよ」という自らの疑問は,他人にとやかく言われようと大切にしていきたい。
思い出せば,私も望月さんと同じ頃に東京新聞を受験していたのだ。全く勉強していなかったので,全く手応えのないまま一次の筆記で落ちたが,もしかしたら望月さんと同僚になっていたかもしれないと思うと,勝手に親近感を感じてしまう。フロイトの言う同一視か。