『怪談の道』

内田康夫『怪談の道』(講談社文庫 2013)を読む。
初出は1994年である。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)も訪れたという鳥取県倉吉市を舞台にした殺人事件に、名探偵浅見光彦が挑む。鳥取県倉吉市に残る天の羽衣伝説や、戦後の原爆被害や原発反対運動、岡山県と鳥取県の県境にある人形峠のウラン開発などが盛り込まれており読み応えがあった。神話と歴史と社会問題が綯い交ぜになっている内田氏の面目躍如たる作品である。