鈴木大介『最貧困女子』(幻冬舎新書 2014)を読む。
著者は「貧困」について、低所得に加えて「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」に陥った状態と定義する。路上に彷徨い、現金収入のあてもない孤立無援の家出女性にとって、住む場所と現金収入、携帯電話、そして彼女の境遇に共感する仲間がいる風俗業は、セーフティネットと言っても過言ではない。家族や地域から締め出され違法なセックスワークに従事する女性の取材を通して、著者は官製のセーフティネットが機能していない現実に忸怩たる思いをぶつける。
また、執筆当時の景気の悪化で、昼の正業を持った女性がデリヘル業界に参入してきて、格差が生じつつある現実にも触れる。
『最貧困女子』
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