東京新聞国際面から

7月下旬から、サウジアラビア東部のアワミヤで、サウジ治安部隊とイスラム教シーア派武装勢力の間で衝突が激化し、数千人の住民が安全な地域に避難する事態になっている。
スンニ派大国のサウジの中で、アワミヤを含む東部カティフ州はシーア派が多数を占め、2011年の民主化運動「アラブの春」以降、散発的にサウジ治安部隊を狙った襲撃事件が続いている。
一方、サウジが軍事介入するイエメン内戦でも、7月下旬にシーア派武装組織フーシ派がサウジ西部に越境し、弾道ミサイルを発射している。サウジはシーア派の背後にイランがいるとみて警戒している。

また、過激派組織「イスラム国」(IS)が系列メディアを通じて、イランに対して新たなテロ攻撃を警告している。報じられたビデオではイスラム教シーア派を背教者と非難し、覆面姿で自動小銃を持った男三人が「イラクやシリアで行うように、テヘランでシーア派の首を切る」と脅している。

さらに、別の記事では、イエメンのアデン湾沖で、ソマリアの密航業者が当局者による摘発を恐れ、同国やエチオピアの移民や難民120人を船から海に突き落とし、非難の声が集まっていると掲載されている。飢餓や貧困に苦しむソマリアなどから、対岸のイエメンに逃れる移民は今年だけで5万5千人に上る。その多くが豊かな湾岸諸国で仕事を探すことを目的としている。

元々砂漠の住民であるベドウィンが自由に遊牧生活をしていた地域に、欧州列強帝国の都合だけで国境を策定したために、今でも内戦や紛争が続いているのである。また、さらにそうした小競り合いを利用する輩がいるために、余計問題を複雑にさせている。スンニ派とシーア派の対立は今後とも続いていくのだろうか。いずれにせよ、石油以外の産業の高度化や、環境や農業での技術的支援が求められる。特に日本は、ベルシア湾沖での軍事衝突に首を突っ込むのではなく、水資源や環境技術でリードしていくべきである。

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