地理学 第2課題

一 Plate Tectonicsの考え方
 地球表面は,平均の厚さが100kmほどの幾つかの硬い岩石の板で覆われていると考えられている。これらの板をPlateといい,一つ一つのPlateはその下のMantleがゆっくり対流することにより,様々な方向に移動する。大洋中の海嶺で地球内部から上昇したMantleは,少しずつ水平方向に進み,海溝の部分で地球内部に沈んでいく。
 Plate同士の運動の型は,3つの型に分けられる。二つのPlateが互いに離れようとする境界を,“広がる境界”とよぶ。海底にある広がる境界には,地球内部のMantleからMagmaが噴き出して,海嶺と呼ばれる海底火山の高まりがつくられる。Africa大陸東部の大地溝帯やIcelandのような陸地に連なる広がる境界には,地溝の裂け目に沿って噴火を起こす火山が見られる。二つのPlateが水平にずれている境界を,“ずれる境界”といい,そこでは長大な横ずれ断層がつくられる。北America Plateと太平洋Plateの横ずれにより大地震を起こしたSan Andreas断層は,この代表例である。
 二つのPlateが互いに近づく境界を“狭まる境界”という。狭まる境界には,大陸Plateどうしが衝突し,Alps山脈やHimalaya山脈のような高く険しい山脈をつくる境界(衝突型)と日本海溝のように海洋Plateが大陸Plateの下に沈み込んで海溝をつくる境界(沈みこみ型)とがある。この沈みこみ型境界では,Plateどうしの接触面がずれて海溝型地震がおきたり,海底の地盤の動きに伴って津波や火砕流が発生することがある。2004年のSumatera沖地震や2011年の東日本大震災の津波災害はその例である。また,1991年の雲仙普賢岳の火砕流も,沈みこんだ海洋Plateの一部が溶けてMagmaとなって地表に噴出したものである。
 日本列島で地震や火山爆発が多発するのは,大陸Plate(同Eurasiaと北America)の下に海洋Plate(同太平洋とPhilippine海)がもぐりこむ,狭まる境界に位置しているためである。
 こうした一連のPlateの生成や分裂について,Mantle中の巨大な茸型の上昇流に拠って説明するPlume Tectonicsの研究が進んでいる。

二 世界の地帯構造
 〈新期造山帯〉Andes・Alps・Himalayaなどの山脈は,高くて長大な険しい山脈である。またAleutian列島や日本列島なども,大洋底を基準とすると大山脈となる。これらの地域は中世代後期から現在に至るまで新しい山地・山脈が成長しているところであり,中世代後期から新生代に造山運動が生じた新期造山帯と呼ばれる。環太平洋造山帯とAlps=Himalaya造山帯とからなる新期造山帯は,Plateの境界に位置していることが多く,地震などの地殻変動や火山活動が活発な地域となっている。Magmaの作用によってできた銅,銀,すず,亜鉛などの非鉄金属資源に恵まれている。
 〈古期造山帯〉AppalachianやUralなどの山脈は,低くなだらかである。これらの地域は,古生代に起こった造山運動によりつくられた山地であり,古期造山帯とよばれる。古期造山帯は,造山運動が止まり長期間の浸食を受け続けいるため,現在ではゆるやかに起伏する山地・山脈が多い。古期造山帯では,古生代後期に繁栄したシダ植物の森林が堆積し,炭化してできた良質の石炭が多く産出される。
 〈安定陸塊〉東Europe平原やAmericaの中央平原などは,広大な平野である。これらの地域は,先Cambrian時代に造山運動を受けて山脈がつくられたものの,古生代以降に長年にわたって広い範囲が侵食され続けて平坦になったところであり,安定陸塊とよばれる。侵食平野が広い範囲にわたってゆっくりと隆起した地域では,Brazil高原やDeccan高原などのような大規模な高原がみられ,鉄鉱石などの開発が盛んな地域と重なる。安定陸塊には,先Cambrian時代の岩石が地表に表れている盾状地と,古生代以降に一時的に海面下になって土砂が水平に堆積し,その後に陸化して地表が侵食を受けた卓状地とがある。盾状地の侵食平野の多くは準平原となっており,卓状地では地層の構造が地形に繁栄された構造平野となることが多い。

三 山地の地形輪廻
 Americaの地形学者Davisは,地形変化の過程を人間の一生になぞらえた。内的営力である地殻運動で隆起した山地や高原は,外的営力である河川などの侵食を受け,谷が形成されはじめる幼年期,谷密度が高まり地形の起伏が大きくなる壮年期,山地の高度が減じて谷も広く丸みを帯びたようになる老年期などの段階を経て,最後には海面とほぼ同じ高さに広がる平地(準平原)になると考えた。さらに,平原が地殻運動などで隆起する、あるいは侵食基準面が相対的に低下すると,再び侵食が始まるという輪廻を繰り返すとした。

参考文献
『新編詳解地理B』(二宮書店 2013)
『新編地理資料2013』(東京法令出版 2012)

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