月別アーカイブ: 2024年3月

『すべて僕に任せてください』

今野浩『すべて僕に任せてください:東工大モーレツ天才助教授の悲劇』(新潮社 2009)を読む。
東工大で金融工学の先鞭をつけた白川浩さんを東工大へ引っ張ってきて、一緒に応用数学を活用した。著者は白川氏

白川浩

『海辺でLSD』

川島誠『海辺でLSD』(角川書店 2006)を読む。
1993年に雑誌で発表された短編小説に、時間を置いて連作された小説である。
高校生のちょっと非日常的な出来事を通して、少し成長する話である。正直つまらなかった。

『はじめてのDIY』

毛利嘉孝『はじめてのDIY:何でもお金で買えると思うなよ!』(ブルース・インターアクションズ 2008)を読む。
「DIY」といっても、家の修理や車の整備ではない。「DIY」について筆者は次のように説明する。

まずは、じぶんでやってみよう!

あっ、でもj人を追い立てようというものではありません。似たようなメッセージの広告に、Just Do it なんていうのがありますが、あれはどこかで追い立てられている感じですよね。

やるしかない→がんばるしかない→戦うしかない→勝つしかない→(なぜか)買うしかない。
という図式が背後に見え隠れします。
でも、DIYは、そんな競争はくだらないから降りよう、という思想です。
やんなくてもいいし、がんばらなくてもいいし、戦わなくてもいいし、勝たなくてもいいし、(もちろん)買わなくてもいい。
けれども、そんなことしなくても、別の、とっても豊かな生活がじつは存在するんだ、ということに気づかせてくれるのがDIYなのです。
もっといえば、そんなことしないから、そしてお金なんか使わないからこそ、豊かになるんだ、ということをDIY的な実践が教えてくれるのです。
お金を使わないことーー商品が支配する世界に従属しないことが、DIYの精神なのです。

後半では、高円寺商店街でリサイクルショップを展開する「素人の乱」が取り上げられている。まさに、筆者のいうDIYをそのまま体現化したお店である。

代々木公園には、九〇年代の中頃から住む場所を失ったひとたちが流れ込んできました。バブル景気の崩壊のあと、仕事にあぶれ、住む場所も失ったひとたちは、九〇年代は駅周辺に生活していたのですが、それも行政によって追い出され、しかたなしに公園で生活するようになったのです。彼らは、ブルーシートやテントの家を作り一種の村、コミュニティを形成しました。
エノアール(野宿者による野宿者のための交流の場)は、しばしば孤立しがちな公園生活者のためのゆるやかな共通の場を提供してきました。物物交換といい、絵を描く営みといい、そうした交流を促進するためのしかけなのです。

そういえば、社会学者のユルゲン・ハーバーマスは、だれであれ自由に意見を交換するカフェやサロンを「公共圏」と呼び、民主主義の発達の重要な場として定義しました。エノアールはそうした意味で現在数少なくなった「公共圏」という感じがします。ハーバーマスが議論した一九世紀の「公共圏」は、あくまでも特権的なブルジョワ階級しかアクセスできないものでしたが、それと対比して、このエノアールカフェは「ホームレスの公共圏」とでも呼ぶべきかもしれません。

『山田村の行進曲はインターネット』

倉田勇雄『山田村の行進曲はインターネット』(くまざさ社 1997)を読む。
かつてはパソコン普及率日本一を誇り、現在は富山市に吸収合併されてしまった山田村でのインターネットの普及の奮闘記である。

『新型インフルエンザが日本を襲う!』

大西正夫『新型インフルエンザが日本を襲う!:恐るべき強毒性ウイルス』(ランダムハウス 2009)を読む。
15年前の本であるが、近い将来、中国発祥のインフルエンザが爆発的に流行し、スペイン風邪(インフルエンザ)を超える死者が出る危険性があると警鐘を発している。そして当時進められていたタミフルの備蓄やワクチン接種、在宅勤務などの行動計画が紹介されている。

著者は初期行動が大切であるとし、「転ばぬ先の杖」の対策を早急に進めるべきだと述べる。しかし、事態は想定を軽々と超えてくるので、臨機応変に判断・対処できる国民を育てていくことが大事ではないかと思う。