月別アーカイブ: 2024年2月

『オタク女子研究』

杉浦由美子『オタク女子研究:腐女子思想大系』(原書房 2006)を読む。
アキバに集う男性オタクと比較しながら、女性のオタクの思想と実態について深く論じている。

女性のオタクには、やおいやボーイズラブを嗜好する「腐女子」をコア層から、ジャニーズオタクや宝塚オタクなど裾野が広い。女性のオタクは小説やミュージカルなどを楽しみ、恋愛や結婚も普通にするので、一般的な女性との見分けがつきにくい。

著者によると、「腐女子」が好むボーイズラブの原点はアニメ「六神合体ゴッドマーズ」にあるという。アニメに登場する主人公同士の恋愛の妄想が、後の「キャプテン翼」や「スラムダンク」、「テニスの王子様」へと受け継がれていく。

『お菓子手帳』

長野まゆみ『お菓子手帳』(河出書房新社 2009)をパラパラと読む。
女性による女性のためのエッセーで、お菓子やスイーツにまつわる過去の思い出が、具体的な商品名とともに綴られる。

『小児科医が見たタバコ病』

井埜利博『小児科医が見たタバコ病』(最新医学新書 2004)をパラパラと読む。
要はタバコは吸っている人も副流煙を吸う周囲の人にとっても有害なものであると断定した上で、喫煙人口が欧米に比べて高い割合で推移している懸念や、ニコチン中毒を治す具体的な治療方法などが説明されている。

最新の疫学調査調査によると、乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険因子として、人工栄養児、うつ伏せ寝などなどと並び母親の喫煙による小児の受動喫煙が最大の危険因子であるとされている。

また禁煙補助剤として、ニコチネルTTS(ニコチンパッチ)やニコレット(ニコチンガム)の具体的な効能や使用法など、知らない世界の話だったので興味深かった。

「インドは民主主義か」

本日の東京新聞朝刊に、世界最大規模の国政選挙を行う近年のインドに関する社説が掲載されていた。記事によると、外交面では、日米欧などの民主主義陣営と中露などの権威主義陣営の双方に足場を置くことで、国際社会での存在感を高めていると高いを評価している。一方内政の面では、モディ首相就任後、ヒンズー教徒への優遇政策が露骨で、イスラム教徒などの少数派への弾圧や、マスコミ、野党への攻撃も酷くなっているという。国際NGO「国境なき記者団」の世界報道自由度ランキングでは、2002年の80位から2023年には161位と後退している。

授業の中でも経済や外交面の良い面を強調してきたが、パキスタンに距離的に近いインド西部のイスラム教の迫害など、もっと授業でも深掘りすべきであった。

『天職』

秋元康・鈴木おさむ『天職』(朝日新聞社 2013)を読む。
業界を代表する放送作家の二人の対談集である。当時55歳の秋元氏と41歳の鈴木氏が、手がけてきた仕事に自身の年齢や感性を重ね合わせて、作家としての仕事の勘や遣り甲斐について語っている。二人とも「仕事に対する楽しさ」や「好奇心」を持ち続けることが大切だと述べる。