片山立志『通関士になろう! 新版:貿易実務のプロを目指すガイドブックの決定版』(PHP研究所 2001)をパラパラと読む。
著者は通関士養成機関のマウンハーフジャパンを立ち上げた人で、本書には通関士の将来性や仕事の醍醐味、国家試験の内容、合格術、合格体験記が収録されている。内容が分かりやすく、ぱらっと読んだだけだが、通関士業務の一端は知ることができた。
ただし、関税法や関税定率法、関税暫定措置法などに照らして、インボイスなどの申告書の作成が中心の業務で、AIで代替できるじゃんと思いながら読み進めていった。確かに通関業務の書類作成はAIで充当できるが、通関業務の知識や経験をいかしたEPA・FTAアドバイザーや運送代理店などでのコンサルティング業務は人間相手ものなので、必ずしもAIに取って替られる職業ではない。
学校現場では何度も繰り返されている議論であるが、知識そのものの多少や正誤を重視するのではなく、知識を活用する技能や、それらを応用する思考・判断・表現が人間には大切なのである。本書の狙いではないが、そうしたAI時代に必要な教育を考えるきっかけにすることができた。