月別アーカイブ: 2023年1月

『水泳らくらく入門』

川口智久『水泳らくらく入門』(岩波ジュニア新書 1994)をぱらっと読む。
著者は、刊行当時一橋大学社会学部でスポーツ社会学を教える教授であった。勝利や記録を伸ばすための泳法ではなく、水泳が全く苦手な人が水を怖がらず泳げるようになるための呼吸法や水に浮く方法を分かりやすく解説している。著者は「ドルフィン・平泳ぎ(ドル平)」なるバタフライに近い新しい泳法を提唱している。しかし、実際の動きは文章と絵だけではよく分からなかった。

現在もネットで「ドル平」と検索すると色々出てくるので、水泳界では定着した指導法なのであろう。著者は新日本スポーツ連盟に属し、共産党と関係が深いのであろうか、スポーツ「9条の会」の呼びかけ人代表を務めている。

『リハビリテーション』

砂原茂一『リハビリテーション』(岩波新書 1980)をパラパラと読む。
著者は、東京帝国大学医学部を卒業後、一貫して国立療養所に勤務し、執筆当時は国立療養所東京病院(現国立病院機構東京病院)で名誉院長を務めているほどの、リハビリの草分け的存在である。主に脳卒中で障害が残った場合に、医学的なリハビリテーションが行われる。理学療法士や作業療法士、義肢装具士、言語聴覚士、社会福祉士などの専門家が社会復帰に向けたリハビリを展開する。そのリハビリは単なる身体的な機能回復に留まらず、人間としての生きがいを取り戻す過程だと著者は断じる。むすびの最後の一節で著者は次のように述べる。

リハビリテーションは今後の臨床医学の普遍的な目標とされなくてはならないだけ、一層その基本的理念についてのきびしい探求が要請されるべきであろう。リハビリテーションとは何であるか、何であるべきかと問うことは、医学・医療とは何であるか、ひいては人間とは何であるかを問うことになるはずだからである。

『女城主・井伊直虎』

楠戸義昭『女城主・井伊直虎』(PHP文庫 2016)を手に取ってみた。
江戸幕府で大老を務めた井伊直弼に繋がる井伊家の発展を支えた井伊直政の養母である井伊直虎についての解説本である。浜名湖の北側の井伊谷出身の武将で、尼の立場から還俗した城主がいたというのだ。大河ドラマになったそうだが、誰の子の誰で誰に仕えてという話が続くので、5ページでギブアップ。

『野生動物への2つの視点』

高槻成紀・南正人『野生動物への2つの視点:虫の目と鳥の目』(ちくまプリマー新書 2010)をパラパラと読む。
著者はシカの研究家である。狼がいなくなった現在では、シカのようなを大型動物食べる肉食動物は日本にはいない。しかし、シカが食べる植物の方が様々な策略を練ることで、シカの繁殖を防いでいる。著者はそうした生態系の妙について、他の絶滅危惧種の例を上げながら丁寧に解説している。