砂原茂一『リハビリテーション』(岩波新書 1980)をパラパラと読む。
著者は、東京帝国大学医学部を卒業後、一貫して国立療養所に勤務し、執筆当時は国立療養所東京病院(現国立病院機構東京病院)で名誉院長を務めているほどの、リハビリの草分け的存在である。主に脳卒中で障害が残った場合に、医学的なリハビリテーションが行われる。理学療法士や作業療法士、義肢装具士、言語聴覚士、社会福祉士などの専門家が社会復帰に向けたリハビリを展開する。そのリハビリは単なる身体的な機能回復に留まらず、人間としての生きがいを取り戻す過程だと著者は断じる。むすびの最後の一節で著者は次のように述べる。
リハビリテーションは今後の臨床医学の普遍的な目標とされなくてはならないだけ、一層その基本的理念についてのきびしい探求が要請されるべきであろう。リハビリテーションとは何であるか、何であるべきかと問うことは、医学・医療とは何であるか、ひいては人間とは何であるかを問うことになるはずだからである。