月別アーカイブ: 2021年12月

『「信濃の国」殺人事件』

内田康夫『「信濃の国」殺人事件』(光文社文庫 2011)を読む。
1985年に刊行された本で、何度か文庫化された本である。著者の初期の作品で、信濃のコロンボこと竹村警部が登場する本格ミステリーである。長野県内の地名が何度も出てくるので、地図帳で位置を確認した。

「民主主義サミットに思う」

本日の東京新聞朝刊に、私が私淑する宇野重規教授のコラムが掲載されていた。今月上旬に行われたバイデン大統領主催の「民主主義サミット」に対する違和感が丁寧に説明されている。短い文章であるが、現在の世界が抱えている、勢力の均衡の不安定さが伝わってくる。

「南西諸島に米軍臨時拠点」

本日の東京新聞朝刊に、台湾有事を想定し自衛隊と米軍が共同作戦を展開する計画を練っているとの記事が掲載されていた。その際は台湾から宮古島・沖縄本島を経て奄美大島までの南西諸島に分散して、弾薬や燃料などの補給体制が築かれるようだ。「補給路を断つ」のが戦争のセオリーなので、台湾で中国で米国が衝突した場合、真っ先に南西諸島が狙われることを想定に置いた計画であることは間違いない。

また、米国には、大統領の支持率が下がると、大義名分を翳(かざ)した戦争を引き起こし、支持率上昇につなげるという伝統的な政治戦略がある。ここ数ヶ月のバイデン大統領の支持率の低下を見ると、人権を盾にした軍事圧力を掛けていき、共和党のお株を奪うような対中強硬路線を突き進むことは容易に想像できる。

こうした状況を考えると、日本は香港や台湾、新疆ウイグル自治区での人権弾圧にきちんと批判をしつつも、北京五輪に全面的に協力して中国側の面子を立てるような懐の深い外交を行なっていく必要がある。果たしてそうした強(したた)かな政治家が今の国会にいるのであろうか。

「米目指す「移民」死者最悪に」

本日の東京新聞朝刊記事より。
3学期よりアングロアメリカに入っていくので、ちょうど授業で扱う内容である。
人文地理学の分野に「一人当たりのGNIが低い国(地域)から高い国(地域)へ労働力は移転していく」という公式がある。日本国内でも高度経済成長期には、若者が地方から都会を目指した。アメリカの一人当たりのGNIは65,897米ドルで世界第5位である。人口1億人を超える国に限ると、もちろん世界第1位である。

こうした働き口に恵まれた米国を目指し、中南米から陸路でメキシコを経由して米国を目指す移民が後を絶たない。トランプ前大統領の頃には国境沿いに不法移民を防ぐための壁が建設されている。バイデン民主党大統領はそうした共和党の移民政策を批判して当選したのだが、状況は好転していない。

メキシコと国境を接するカリフォルニア州ではスペイン語を話すヒスパニック系の割合が年々増加し、2020年の国勢調査では、ヒスパニック系が39.4%で人口は1,557万9,652人となっている。2010年の調査では白人系の割合が最も高く、40.1%を占めていたが、2020年の調査では34.7%に減少し、ヒスパニック系と順位が逆転している。また同州は、ハワイ州に次いでアジア系の割合が高く、その割合は15.1%、人口は598万8,795人となっている。