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『ヨーロッパ鉄道ってクセになる!』

吉田友和『ヨーロッパ鉄道ってクセになる!:国境を陸路で越えて10ヵ国』(幻冬舎文庫 2013)を読む。
フランス、モナコ、イタリア、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、オランダ、ベルギー、イギリス、アイルランドの10ヵ国を飛行機を使わずに、列車だけで移動した旅行記である。シェンゲン協定に加盟していないイギリス入国以外、ほとんどパスポートを見せずにフリーパスの切符で移動できるEUの便利さが際立つ。一方、著者は国を越えていく変化について、あとがきの中で次のように語る。

国境の概念が希薄化している欧州とはいえ、移動するうちに、ある場所を境に国は変わる。多くの国境ではイミグレーションはないし、「たったいま国が変わりました」などと車内アナウンスが流れるわけでもない。ボケーッとしているうちに、いつの間にか次の国へ入っていたりする。
(中略)看板の文字が違うものになり、建物の色使いが微妙に異なることに気が付く。やがて駅に着いて街を歩いてみると、先ほどまでとは別の世界へやってきたことを悟り、静かな興奮に見舞われる。