野澤伸吾『アラフォーからのロードバイクバイク:初心者以上マニア未満の〈マル秘〉自転車講座』(ソフトバンク新書 2013)を読む。
業界大手のスポーツバイク専門店「Y’sRoad」志木店に勤務する著者が,ロードバイクの買い方から,簡単な日々のメンテナンス,上半身のフォームや下半身の使い方などを分かりやすく説明する。この手のロードバイク入門書は写真やイラスト満載の雑誌記事の再編集物が多いが,この本は書き下ろしの新書で写真が1枚も掲載されていない。また,イラストもほんの僅かしか描かれておらず,分かりやすい例えを多用して身体の動かし方や筋肉の動きを説明している。私自身が言葉の人間なので,写真やイラストよりもイメージがしやすかった。そのうちの幾つかを紹介してみたい。
(ロングライドの)ペースの目安は「鼻呼吸で走れるスピード」,あるいは「口をちょっと開くけれど,無理なく走れるスピード」。このくらいが有酸素運動の領域です。
ロードバイクに乗ったから味わえるこの達成感。(中略)160kmくらい走って帰宅,バイクを磨き,シャワーを浴びる。そしてビールを飲み……スーッと意識が飛ぶ瞬間,私は好きです。
(自分で簡単にできるフォーム改良のレッスン法)
①リラックスして直立します。
②「申し訳ございません」と深々とお辞儀しましょう。
③お辞儀をしたまま,肩の力を抜いて,両腕をダラ〜ンとぶら下げます。(この時に肩甲骨を腕の重さで開きます)
④ぶらさげた両腕を脱力したまま,ヒジを軽く曲げてハンドルを握るように両腕を前方へ
⑤両手の力は抜いたまま。このとき眼科にパソコンのキーボードがあれば,軽〜く打てるようなイメージです。
⑥そしてアゴを引いたまま,上目づかいで前方に目を向けます。ポイントは背中を丸めて骨盤を起こすこと。そのために腹筋(腹直筋)にグッと力を込めてお腹にパンチを食らったように丸みを出します。まずはこれを意識するだけで,カラダの各部分の筋肉が発動するようになります。こうすると,前輪荷重は解除され,グググッと後輪に体重が乗ってくるのがわかります。すると,ハンドルを握る手のひらには力が入らず,まるでピアノでも弾くように指先を動かせるようになります。
(ロードバイクをコントロールする方法)「ビューッと走って,クッ,ガバッ,振り向けばスーッ」ですね。
①上ハンドルに人差し指だけ添える。そしてビューッと走り出します。
②右に曲がるときは,右ヒザを一度クッと内股にして,次の瞬間,右にガバッと開いてガニ股に。
③すると,スッと右に曲がれます。
④このとき後ろを振り向くように右へ顔を向ければ,スッとUターンできます。オイルをさすのは月に1回,あるいは雨天時の走行の後でOKです。オイルが必要なのはチェーンの内部,表面には必要ありません。1コマずつピンを狙って丁寧にさしていきます。(中略)スプレータイプのオイルの場合は,細いノズルでピンを狙ってプシュッ,プシュッと1コマずつ吹きつけます。
(ロングライドの)最終ステップ3は,1時間走って10分休憩を4〜5回ほど繰り返して,100kmライド。ちょっとつらくなったら巡航速度を少し下げると,ぐんとラクになります。「空気抵抗は速度の2乗に比例」と前述しましたが,「走行に必要なパワーは速度の3乗に比例」します。つまり速度30kmから時速27kmに落とすと,必要なパワーは27.1%も少なくなるのです。