ここ10日くらいかけて、村上春樹『1Q84』(新潮社 2009)全3巻を読破する。
1巻、2巻はどんどん謎が深まっていき、ワクワクしながら読んでいった。ミステリー要素もあり、恋愛要素もSF要素も社会批評もつまった、これぞエンターテイメントだと心から感じた。しかし、3巻の後半に入ると、「いったい残された謎はどう回収されるのか」と心配になった。最後まで飽きさせない展開で読後感は残ったが、「結局はパラレルワールドかよ」と投げやりな印象になったのは否めない。
主人公タマルのセリフが印象に残る。
希望のあるところには必ず試練がある。(中略)ただし希望は数が少なく、おおかた抽象的だが、試練はいやというほどあって、おおかた具象的だ。