「脱『蒋介石』 割れる台湾」

本日の東京新聞夕刊に「脱『蒋介石』割れる台湾』と題した国際記事が掲載されていた。
台湾の民主化が始まって、30年余りが経つが、国民党独裁政権を率いた蒋介石の銅像が今も台湾全土に千体以上残っている。「大量の市民を虐殺した事件の元凶とされる蒋像を顕彰するのはおかしい」などの市民から不満の声が上がっているという。

民進党の蔡英文政権は、蒋介石像の撤去をはじめ、過去の権威主義統治の不正義を追及する条例を制定したが、蒋介石を巡る世論は割れている。政権側は自らの民主化を正当化するため、蒋介石の肖像が描かれている貨幣の改定や軍事施設からの蒋介石像の撤去、観光スポットの中世紀念堂から蒋介石像を守る衛兵の撤退を計画している。一方、「蒋介石は国民革命軍の父であり、その功績を消すことはできない」と国防部は像撤去に否定の意を表明している。また、野党の国民党幹部は「官が追い詰めるから民は反発する」とのコメントを発表している。

30年前のソ連・東欧の民主化の流れで、レーニン像が憎悪の対象とされ、各地で撤去された事態を思い出した。レーニン像は厳めしい顔つきで、上空に手を伸ばす姿であり、いかにも革命を象徴していた。しかし、蒋介石像は杖をついてにこやかな笑顔を浮かべており、レーニン像とは様相を異にする。この笑顔で人のよさそうなおじさんの姿が、問題をより複雑にしているのかもしれない。