本日の東京新聞朝刊に、政治学者姜尚中氏のインタビューが掲載されていた。非常に分かりやすい言葉で米中の動きや朝鮮半島情勢、グローバル化について語る。特に印象に残った点を書き留めておきたい。
―(グローバル化が進み、国家や国民は変わりましたか)
国家は本来、自律性を持ち、国民の福祉や国益のために動いていくものです。
しかし、グローバル経済ではマーケットが自己増殖し、国はそれをハンドリングできません。むしろグローバル経済に合わせて国が動いていく。国家の自律性は低下していきます。グローバルなシステムにどれだけ素早くタイムリーに対応できるか。それが国家に求められるなら即断即決がいいわけです。
民主主義には時間がかかります。熟議してしっかり煮詰めていくのが民主主義だからです。しかし、民主主義にかかる時間や労力や無駄で、専制的な独裁に近いような者が政策決定をした方がグローバル経済の中では適応力を持ち得るという考え方に先進国も傾いてきました。そういう考え方をすると、米英よりも中国の方がいいということになります。上が決めたら、国民は文句を言わずに従う。即断即決でグローバル経済の変化に即応できる。非常に危険な考え方だと思います。―(グローバル化と同時にナショナリズムも台頭しています)
国民国家では国民が主人公です。国民があって国家がある。当たり前のことです。ところが、グローバル化の中でこの関係が逆転すると、みんな右へならえ、国がやろうとしていることに反対して不協和音をつくるなという議論が出てきます。
グローバル化とナショナリズムは必ずしも対立しているわけではありません。対立しながら共鳴し合っている。グローバル化が進むとともに、みんな国に従おうという、ある種のナショナリズムも強くなる。グローバル化と、それに対する逆流現象、つまり、みんなが同じ方向に向かっていくというコンフォーミズム(画一主義)がせめぎ合っています。