日別アーカイブ: 2018年7月16日

良い社会をつくる公共サービスを考える7.13埼玉集会

 

先日、埼玉県公務公共サービス労働組合協議会主催の「良い社会をつくる公共サービスを考える7.13埼玉集会」に参加した。公務員や連合傘下の組合が中心であるが、医療福祉や教育機関、地域交通などの「公共サービス」の質を向上させることが、豊かな地域社会づくりに繫がるという運動である。主催者あいさつの中でも、少子高齢の進展や自然災害を通じて、安全かつ良質な公共サービスと国民の健全な生活環境が根底から損なわれている実態が露呈したとの話があった。公務員に労働基本権が保証されていないことがそもそもの問題の原因である。「自己責任」という言葉が跳梁跋扈して久しいが、国、地方公共団体の責任の一層の明確化と官民問わず公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保と労働環境の整備が求められる。

後半は、名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授の内田良氏の「学校の日常を『見える化』する 部活動改革から働き方改革まで」と題した講演会が行われた。1時間という限られた時間であったが、ソフトな語り口ながらずばり核心に迫っていく話にすっかりと引き込まれてしまった。「生徒第一」「教育的意義」という美辞麗句のもと、制度設計なき長時間労働を黙認し、教員の自主性を絡め取りつつ過熱化する部活動のあり方に丁寧にメスを入れていた。
内田氏は運動会での組体操や運動部そのものは決して否定していないし、現行の教育が失敗しているとも断じていない。しかし、人や場所、カネ、時間などの資源が極めて制約されている中で、勤務時間外のサービスが過剰に美化・奨励されている現状に警告を発する。学校こそがブラック企業そのものである。また、「部活動がきつい」「休みがなく過労死しそうだ」という意見に対し、「そうした意見は一部である」という反論が必ず出てくるが、ブラック企業もいじめも過労死も全ての問題は「一部」なのである。一部の問題を全体で配慮するのが社会や教育の役割であると内田氏は強調する。
最後に、全国大会を目指す部活は民間のクラブの競争の論理にゆだね、部活動素人の教員は地区大会レベルで活躍できる、せいぜい6時くらいには全てを終えて帰れる制度設計が必要だと結論付ける。
勝利至上主義だけでなく、安全管理や健康管理という側面からも部活動が長時間化する傾向が強まっている。教員の自主性という面倒な要素もあるが、「ちょっとおかしいよね」と言える文化を大切にしていきたい。