昨日、次期ワールドカップ日本代表監督にサンフレッチェ広島の選手・監督として森保一氏が就任した。
その就任挨拶の中で胸を打つコメントがあったので一部を紹介したい。
また私は現役を引退してからサンフレッチェ広島の育成コーチをしながら、日本サッカー協会でもトレセンコーチとして活動をさせていただきました。その経験は今の私に非常に大きなものとなりました。何かと言えば、地方を回って、グラスルーツのところから、いろいろなカテゴリーの活動を見させていただきました。指導者の方々がプロとして指導で生計を立てている方はごくわずかで、大勢の方々は仕事があり、家庭もあり、そして自チームの選手を見て、さらにトレセン活動に参加している。本当にボランティアの精神で自己犠牲を払って、選手を育ててくれているということ。そういう活動をクラブでも日本サッカー協会でも見させていただきました。
そういう方々の努力があって、選手が育ち、私が今、仕事をさせていただく日本代表やオリンピック代表に選手を送り込んでいただいているということ。全ての指導者の努力があり、環境を整えてくださる周りの努力があって、我々は素晴らしい選手たちを見ることができる。日本を代表して戦うことができるということを忘れてはいけないと思います。そういう方々の気持ちを背負っていつも戦うということ、そこは肝に銘じて戦ってまいりたい。
少年や中学生、高校生などのアマチュア選手をボランティアで面倒みている指導者とその関係者の方の熱意が、世界で戦う日本代表を支えているとの趣旨である。サッカーに限らずスポーツ界全体を見渡してもほとんど聞かれなかったコメントである。自分の所属するチームや家族への謝意は数多くあったが、「自己犠牲を払って選手を育ててくれる」指導者の方へ配慮する代表監督というのはこれまでいなかったのではなかろうか。これから前途多難であろうが、最後まで応援したい監督である。