浅野いにお『世界の終わりと夜明け前』(ビッグスピリッツコミックススペシャル 2008)を読む。
東京を舞台に、何かに自信を失っている、そして何かを信じている若者の姿を群像劇で描く。若者の孤独や閉塞に焦点を当てるが、そこに根拠のない希望がほのかに感じられる。カッコ良い言い方をすれば、「大きな物語」が信じられなくなり、愛や友情、自分の将来、自分の可能性、自分の力量といったあやふやなものしか信じられなくなってしまった「ポストモダン」な状況が描かれる。
おっさんになり、守るべき子どもができて、ローンに追われるマイホームがある自分が読んでもあまり共感しにくい世界であった。十九歳、二十歳、二十代前半の青年時代に読めば、もっと印象は変わってであろう。
『世界の終わりと夜明け前』
コメントを残す