浅野いにお『世界の終わりと夜明け前』(ビッグスピリッツコミックススペシャル 2008)を読む。
東京を舞台に、何かに自信を失っている、そして何かを信じている若者の姿を群像劇で描く。若者の孤独や閉塞に焦点を当てるが、そこに根拠のない希望がほのかに感じられる。カッコ良い言い方をすれば、「大きな物語」が信じられなくなり、愛や友情、自分の将来、自分の可能性、自分の力量といったあやふやなものしか信じられなくなってしまった「ポストモダン」な状況が描かれる。
おっさんになり、守るべき子どもができて、ローンに追われるマイホームがある自分が読んでもあまり共感しにくい世界であった。十九歳、二十歳、二十代前半の青年時代に読めば、もっと印象は変わってであろう。
月別アーカイブ: 2016年1月
「さぁ、安倍政治を終らせよう」1.19集会
以下、メーリング・リストからの紹介
「さぁ、安倍政治を終らせよう」1.19集会
日時:1月19日(火)17時~
講師:小林節さん(慶應大名誉教授)
場所:憲政記念館・講堂
主催:戦争をさせない1000人委員会・立憲フォーラム
※入場は無料です。
※18時30分からは戦争法廃止!安倍内閣退陣!1.19総がかり行動が開催されます。あわせてご参加ください。
『乗りくらべスポーツ自転車の本』
エイムック『乗りくらべスポーツ自転車の本:バイシクル・インプレッション2003』(エイ出版 2003)を読む。
刊行当時の最新型の64台のスポーツバイクのインプレッションである。FRバイクに始まり、DHバイク、XCバイク、ロードバイク、加えてMTBやミニベロ、折りたたみ式自転車まで、あらゆるジャンルの自転車を取り上げている。ごった煮的な印象は免れないが、「あらゆる趣味の雑誌、本を発行し、新しいライフスタイルを提案するエイ出版社」とエイ出版の会社宣伝文句にある通り、自転車の種類だけそれを楽しむ趣味の世界があるということは伝わってきた。
『大人のための自転車通勤読本』
松田力『大人のための自転車通勤読本』(東京書籍 2008)を読む。
建築家代表の著者が、50代半ばになってから始めた会社まで8.5キロの自転車通勤の魅力や、サドルへのこだわり、はたまたお風呂での読書のやり方など自転車に纏わる四方山話をべらんめえ調で語る。
さらっと読み流していたのだが、35年以上前の学生時代に突然車のアクセル・ペダルが壊れてしまい、道端に落ちていた針金で修理して帰ったとのエピソードが印象に残った。著者はその経験から次のように述べている。
動くことのカラクリを理解した上で乗っていれば、どこに問題が発生し、どこをチェックし、どこを直せばいいのか、即座に判る。基本的な機構を理解しておくことの重要をその時身をもって実感したのだ。
ところが、何なんだ。今の車は、ボンネットを開けてみても何が何だかさっぱり判らない。コンピュータしかり、裏蓋を開けてみてもさっぱり判らない。ケイタイ電話もカメラも同じ。昔、好きだった分解の楽しみは今の子供たちは持ち合わせていない。当たり前だ、目覚まし時計ですら、分解したところでその機構は判らないのだ。まー世の中進んじゃったんだから、しょうがないと言えばしょうがない、としか言いようがないが、自転車にはまだその楽しみが残されている。全てのモノには理由があると思っている私の妄執を満足させてくれるのが自転車である。コンピュータ制御のない、中学で習う物理の知識があれば十分理解できる自転車の機構は、ハゲかかってきたオジさんの知的好奇心をまだまだ満足させてくれる最高のオモチャなのだ。
確かに身近な生活用具が悉くデジタル化してしまい、アナログな機械というと自転車くらいしか思いつかないのは事実であろう。