月別アーカイブ: 2015年3月

本日の夕刊から

suiryoku

本日の東京新聞夕刊は、環境に関する記事が多かった。
一面トップは、東京都江東区の横十間川親水公園にある水門橋下に設置されたマイクロ水力発電の記事だった。治水対策の水門に集水版を取り付けることで最大1.5mの高低差を生み出し、流れ下る水力で水車を回して発電する仕組みである。費用は調査費、工事費合わせて3,500万円であり、発電出力は電子レンジ1台を動かせる程度の約1kwとなる。区温暖化対策課の担当者は「水は区内の至るところにある。売電まではいかなくても、工夫をすれば都市部でも電気を起こせることを実際に見て知ってもらいたい」と話している。
先日の水素発電の記事を考えても、石炭、石油、原子力の時代が終わりを告げ、水の時代が来ているのではなかろうか。かつて老子は「上善は水の如し 水は善く万物を利して争わず 衆人の悪む所に処る 故に道に幾し(最上の善はちょうど水のようなものである。水は万物に恵みを与えていながら決して他と争うことをしない。(そして)だれもがいやがる(低く湿った)所に身を置いている。だから(水こそ)道(の在り方)に近いといえる。」と述べている。まさに、老子の指摘する水の功利性が2500年後の現代日本において着目されているという事実は興味深い。

そして、2面には大型サイクロンの襲撃から丸4日たったバヌアツ共和国の状況を伝えていた。地球温暖化による海面上昇で海に沈んでしまう国として、ツバルやバヌアツ国の名前を良く聞くが、果たして8割の建物が被災した今回の事故は天災だったのか、それとも人災だったのか。

また同じく2面には、九州電力の玄海原発1号機と中国電力島根原発1号機の廃炉が正式に決定したとの記事が載っていた。昨日敦賀原発1号機と美浜原発1号機・2号機の廃炉が報じられ、福島原発事故後の廃炉はこれで5基となった。敦賀原発1号機の出力は35万kwであり、岡山県瀬戸市で建設が進むメガソーラーの発電出力は23.1万kwである。政治的にどうこういう以前に採算が取れなくなっているのだ。再生可能エネルギーをどんどん増やしていって、原発の維持自体が採算割れにまで追い込んでいくことが大切である。

3面には、二大政党制のお手本であった英国で、反原発や格差是正、福祉の向上などを掲げる左派の緑の党が昨年来、急速に指示を広げているという記事があった。緑の党の2010年の前回総選挙での得票率は1%であったが、昨年5月以降の支持率は平均7〜8%を保ち、保守党と連立政権を組む自由民主党と拮抗している。原発は要らないという政治的判断、必要ないという社会的判断、無駄であるという経済的判断の3つを追い求めていきたい。

〈集会等お知らせ〉

 辺野古新基地建設問題を考える院内集会
~沖縄県民の民意を踏みにじるな~

日時:3月17日 (火)18:30開会(18:00より通行証配布します)
場所:参議院議員会館・講堂
主催:沖縄等米軍基地問題議員懇談会
協賛:フォーラム平和・人権・環境/戦争をさせない1000人委員会/沖縄一坪反戦地主会関東ブロック/ピースボート/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会/安保破棄中央実行委員会/うちなんちゅうの怒りとともに!三多摩市民の会/辺野古への基地建設を許さない実行委員会
連絡先:平和フォーラム(tel:03-5289-8222)
内容:沖縄選出国会議員からのアピール
辺野古現地の最新状況報告…安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会・共同代表)

→チラシ( pdf )

「辺野古新基地建設は反対!」
多くの沖縄県民が願い、県民大会で、選挙で、そのゆるぎない民意を示し続けています。しかし政府は、力づくで着々と工事を進めています。民主主義をないがしろにする安倍政権に対する抗議の声を首都圏において拡大していきましょう!
3/17院内集会では、沖縄選出国会議員からのアピール、そして2月22日の県民大会の主催実行委員会から辺野古現地の最新状況の報告を行います。
ぜひともご参加ください。

logo
Link:戦争をさせない1000人委員会

『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』

小宮一慶『ビジネスマンのための「読書力」養成講座:小宮流 頭を良くする読書法』(ディスカヴァー携書 2008)を読む。
経営コンサルタントの肩書きのかたわら、明治大学大学院会計専門職研究科で特任教授も務める著者が、経済やマーケティング、経営、会計、ヒューマンリソース・マネジメントなどの専門ビジネス書を通じて、「論理力」を鍛える読書術を指南する。
著者は読書を5つのフェーズに分類する。

  1. 速読〜求める情報を検索し、調べるための読み方
  2. 通読1〜全体をざっと通しで読んでいって、読書を楽しんだり、必要な知識を得ながら大枠をつかむことが目的
  3. 通読2〜論理的思考力を身につけ、自分の考えをより深めていくことを目的に、線を引いたり、メモをとったりしながら読んでいく読書法
  4. 熟読〜自分の専門分野や興味のある分野の本を、全部読まなくていいから必要なところだけ、リファレンスを参照しながら読む
    →およそ30時間で、ある分野のことがかなり理解できるようになる
  5. 重読〜哲学や思想に関する本を何度も繰り返し読み、「意味」を得るだけでなく、「意識」を高めるための読書

著者は「本をほんとうに自分の身になるように読む」方法として、仮説を持つことが大切だと指摘する。自分の仮説や考え方が正しいのかどうかを見極めようという気持ちで読むと、本の読み方がまるで違ってくる。ビジネス書を読む際に、「お客さま第一」や「成功している会社は、キャッシュフロー経営を行っている」といった視点や仮説をベースにして読んでいくと、より深く著者の考えを読み解くことができると述べる。
そういえば、小説でも一般書でもレポートをの主題を意識しながら読んでいくと、何気ない文章でもふと目が留まることがある。自分自身の関心と著者の考えが交わったのである。普段の読書でも仮説やテーマを意識していきたい。

『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる』

深田和範『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる:大失業時代を生き抜く発想法』(新潮新書 2009)を読む。
タイトル通り、文系大学卒の30歳以上のホワイトカラーが大量にリストラされる状況分析と、そのシュミレーション、対策が丁寧に説明されている。筆者は、リーマンショック以降の不況は一時的なものではなく、少子高齢化や産業の空洞化、商品開発力の低下などが絡んだ構造的なものであり、単にリストラされないということよりも、新しいビジネスチャンスに挑んでいく判断力が求められると述べる。
リーマンショックの嵐が吹き荒れた5年前の本であるが、ちょうど5年前、私自身が「文系・大卒・30歳以上」のホワイトカラーであった。幸いなことに、あと数年でリストラされるということはないだろうが、自分自身の商品価値の見極めと、労働移動や失業にあっても対応できるだけの柔軟性は、常日頃から意識していきたい。