『高学歴ワーキグプア』

水月昭道『高学歴ワーキングプア:「フリーター生産工場」としての大学院』(光文社新書 2007)を読む。
著者自身が執筆当時、博士号を取得したものの大学教授への道は閉ざされ、非常勤講師で食いつないでおり、大学院博士課程を終了した高学歴者が塾講師やコンビニのアルバイトをしながら大学に籍を残し続ける現状や、そうした社会的な制約、日本の教育界の実情を丁寧に綴っている。著者自身が「高等教育現場の歪みに巣くうように出現してしまった地獄」と語るように、少子化による大学の延命策という側面を含めて始まった「大学院重点化」と就職難の狭間に陥ってしまった博士たちを巡る環境は数年経った現在でも見通しは暗い。
こうした教育論でも、「自己責任」論が振りかざされ、社会の歪みが個人に帰せられる論調に対して、著者は明確に反対の意を表明している。

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