久石譲『感動をつくれますか?』(角川Oneテーマ21 2006)を読む。
宮崎駿氏や北野武監督の映画音楽で知られる久石氏が、商業ベースの映画音楽の世界で、いかに監督や観客の期待に応えつつ、作品世界に彩りを添え、なおかつ次の世代まで残るような音楽を紡ぎだせるか、芸術論に始まり、制作のコツ、生活習慣まで詳細に語る。
一流の芸術家というと、音楽の世界にどっぷりと浸かった生活破綻者という旧来のイメージが拭えない。しかし、久石氏は人格と作品は別物であり、なおかつ映画音楽は一曲だけで成立するものではなく、作品全体のバランスを常に考慮したものであると述べる。そして、時には画面のイメージとは対極のメロディが必要とされる一筋縄ではいかない難しいものであると指摘する。