町田康短編集『浄土』(講談社 2005)を2編だけ読む。
ストレス社会に暮らす中年男の暴発的な心理が描かれる。『文學界』や『群像』に掲載された作品なので、黒井千次のような純文学なのかと思い、テーマを探りながら読んだが、いまいち伝わらない作品であった。
『浄土』
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町田康短編集『浄土』(講談社 2005)を2編だけ読む。
ストレス社会に暮らす中年男の暴発的な心理が描かれる。『文學界』や『群像』に掲載された作品なので、黒井千次のような純文学なのかと思い、テーマを探りながら読んだが、いまいち伝わらない作品であった。
第139回直木受賞作、井上荒野『切羽へ』(新潮社 2008)を読む。
作者の荒野(あれの)さんは、作家井上光晴氏の娘である。
とある島で生活する若夫婦を中心とした人間模様が綴られる。ひと月ずつ10数ページほどで章立てされており、毎月小さなエピソードが紹介される。不倫の果ての壮絶な喧嘩や惚けて淫夢を見る老女の死など、それぞれは印象深そうなエピソードが挿入されるのであるが、肝心の心模様は描かれず、淡々と話は進行していく。さらっと読み終わったが、さらっと内容は忘れてしまいそうな小説であった。